2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24780182
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田角 聡志 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (90359646)
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Keywords | トラフグ / 寄生虫 / 宿主特異性 / 2次元電気泳動 / LC-MS/MS |
Research Abstract |
本年度はまず、2次元電気泳動の条件の最適化を行った。1次元目には、昨年度はpH3-10という広い分画範囲のゲルを用いたが、ほとんどのスポットが塩基性よりの部分に存在していたことから、分画範囲がpH5-8のゲルを用いることにした。その結果、スポットの分離を改善することができた。次に2次元目のゲルを7.5%または12.5%として泳動を行ったところ、それぞれ高分子側および低分子側のスポットの分離を改善することができた。こうしてトラフグ、クサフグ鰓由来のタンパク質の分離を行い染色後のゲルの比較を行ったところ、これらの種に特異的なスポットをそれぞれ13、21個新たに得ることができた。これらのうち13および16スポットを切り出しトリプシンによる断片化後、LC-MS/MSによる同定を試みた。その結果両者ともに9、計18スポットについて同定することができた。 このうち膜タンパク質については昆虫細胞表面に提示させ、エラムシ虫体表面に存在する膜タンパク質との相互作用を調べることを目指した。これに先立ち調べた、コントロール分子同士の相互作用は検出することができなかった。膜タンパク質を可溶化するために加えた界面活性剤が原因であると考えられ、濃度などの条件検討を行ったが結果は改善せず、本手法の適用を断念せざるを得なかった。酵母細胞を用いた系は界面活性剤に対する耐性があるため、この実験系を適用すれば本問題は解決できると考えられる。可溶性タンパク質については、組み換え体を用いてエラムシ幼生の誘引活性の有無を調べる予定であったが、今回得られた候補には分泌タンパク質は含まれておらず、実施するまでには至らなかった。 以上、候補分子の活性を調べることによるさらなる絞り込みには至らなかったが、実験手法に起因する問題点を洗い出すことができ、今後さらに研究を進める上での重要な知見を得ることができた。
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