2014 Fiscal Year Research-status Report
高温環境下における植物群落内の局所的な熱動態の計測手法の開発
Project/Area Number |
24780246
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
丸山 篤志 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター情報利用研究領域, 主任研究員 (90355652)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 熱環境 / フラックス計測 / 作物群落 |
Outline of Annual Research Achievements |
作物の生育に影響を及ぼす群落内の熱環境について、前年度(H25年度)までに開発した手法を用いて、イネ群落を対象に水管理等の高温対策によって熱動態がどのように変化するのか明らかにするため試験を行った。 中央農研谷和原地区の水田圃場(茨城県つくばみらい市)において、イネ(品種:コシヒカリ)の登熟期に水管理方法の異なる2つの区を設け、両区において群落内の温度環境(特に田面水温)の測定を行った。登熟期前半に相当する8月1~20日の気温は約23~33℃の範囲で変化したが、水温の変化は水管理方法によって大きく異なった。すなわち、水体と土壌の体積熱容量の違いを反映し、日中の最高水温は水深の浅い区で高く、夜間の最低水温は水深の深い区で高くなる傾向がみられた。日中のほとんどは両区とも水温が気温よりも低かったため、水深の深い状態は(浅い状態よりも)水温低下によって群落上から水面(群落下)への顕熱フラックスが増加しているものと考えられた。一方で、夜間のほとんどは両区とも水温が気温よりも高かったため、水深の深い状態は(浅い状態よりも)水面から群落上への顕熱フラックスが増加しているものと考えられた。 これら水管理方法による熱動態の違いを実証するため、次年度(H27年度)は群落内の熱輸送量(正確にはフラックス密度)の鉛直分布を簡便に連続測定するための計器を開発し、そのために必要なセンサーの調整やプログラム作成を実施する。なお、計器の一部はH26年度中に試作を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究期間の前半2年間において、作物群落内の熱動態の解析手法の開発と群落構造の異なる3種類の作物を対象に空気塊の侵入・排出特性を明らかにすることができた。H26年度は開発した手法を用いて、イネ群落を対象に水田の高温対策として水管理方法による群落内の熱環境の違いを明らかにすることができた。また、最終年度(H27年度)に開発予定である熱輸送量の鉛直分布を測定する装置について、H26年度中に一部作成できたことから、課題は当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(H27年度)は、群落内の熱輸送量の鉛直分布を簡便に連続測定するための計器を実用化するため、極細熱電対センサについて構造の調整や、簡便に測定するためのプログラムの開発を行う。また、開発された手法および計測装置についてとりまとめを行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額104,803円は、研究費を効率的に使用して発生した残額である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、次年度に請求する研究費と合わせて、研究計画遂行のために使用する。
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