2012 Fiscal Year Research-status Report
尿中エクソソームアクアポリン1およびアクアポリン2排泄の生理的調節機構の基礎研究
Project/Area Number |
24780287
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
園田 紘子 宮崎大学, 農学部, 助教 (60608272)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | バイオマーカー / エクソソーム / アクアポリン / 腎疾患 |
Research Abstract |
1.尿中エクソソーム AQP排泄の日内変動 雄性ラットから暗期の6時間、明期の6時間に蓄尿を行った。尿中エクソソームは超遠心によって分離し、AQP1sタンパク質はイムノブロット法により検出した。その結果、ラットの活動期にあたる暗期では、明期と比較して尿中エクソソームAQP1の排泄量が約半分の量であった。一方、尿中エクソソームAQP2排泄量は明期と暗期で変化は認められなかった。申請者のこれまでの研究でAQP1タンパク質の尿中排泄量の減少によって腎でのAQP1タンパク質発現量が保持されることが示唆されている。したがって、活動期の腎ではAQP1タンパク質排泄量を減少させることで尿細管上皮細胞でのAQP1タンパク質発現量を保持している可能性が考えられた。 2.体液の酸-塩基平衡の変化による尿中エクソソーム AQP排泄への影響 酸性化薬であるNH4Clおよび塩基性化薬であるNaHCO3をラットに経口投与し、投与後2時間まで蓄尿を行った。投与後2時間の尿は、コントロール群ではpH 7.5であったが、NH4Cl投与群ではpH 5.7と酸性に、NaHCO3投与群ではpH 8.6と塩基性にそれぞれ変化した。尿中エクソソームAQP2排泄量は、コントロール群と比較して、NH4Cl投与群では減少し、その一方でNaHCO3投与群では増加した。このことから、体液の酸-塩基平衡が変化すると、尿中エクソソームAQP2タンパク質排泄量が変化することが示された。AQP2の発現量は抗利尿ホルモン(AVP)に調節されていることから、AVP受容体拮抗薬をNH4ClおよびNaHCO3と共投与した。その結果、尿中エクソソームAQP2排泄量の酸性化および塩基性化でみられた変化が一部抑制された。このことから、体液の酸-塩基平衡の変化による尿中エクソソームAQP2タンパク質排泄量の変化にはAVPが一部関与していることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は尿中エクソソーム AQPタンパク質の生理的排泄調節について3年間にわたって明らかにしていくものである。初年度の平成24年度では計画通りに尿中エクソソーム AQPタンパク質の生理的排泄調節についての検討に着手し、3年分の計画のおおよそ1年分の進展がみられたと考えている。 これまでに得た結果は主に尿中エクソソームAQPタンパク質についてである。尿中エクソソームにはタンパク質だけでなく、mRNAが含まれている。これまでに日内変動、酸-塩基平衡の変化において尿中エクソソームAQPタンパク質排泄量が変化することは明らかとなったが、尿中エクソソームAQP mRNA排泄量の変化については明らかにできていない。この点については次年度検討していく予定である。 以上のことから、本研究はおおむね順調に進展しているものと自己評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
尿中エクソソーム AQPタンパク質の生理的排泄調節についての検討について平成24年度に引き続き検討を行う。 1 尿中エクソソーム AQP排泄の日内変動。平成24年度の実験では、尿中エクソソーム AQPタンパク質排泄量の日内変動について明らかにしたため、次年度はmRNA排泄の日内変動について明らかにする。 2 体液の酸-塩基平衡の変化による尿中エクソソーム AQP排泄への影響。これまでの実験で、急激な体液pHの変化による尿中エクソソーム AQP2タンパク質排泄量の変化について明らかにしたため、今後はAQP1についても検討を行う。また、変化がみられた場合には尿中エクソソームAQP mRNA排泄量の変化も調べる。 3 血圧の変化による尿中エクソソーム AQPタンパク質排泄への影響。この実験では、高血圧の尿中エクソソームAQP排泄への影響を明らかにする。高血圧自然発症ラット(SHRラット)を用いて、3週齢から6週齢にかけて非観血的血圧計を用いて血圧をモニターしながら、経時的に採尿を行っていく。 4 ホルモンやオータコイドによる尿中エクソソーム AQPタンパク質排泄への影響。この実験では、AQPの細胞内局在に関与するホルモン(vasopressin)やオータコイド(angiotensin II)による尿中エクソソームAQP排泄への影響を調べる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|
Research Products
(4 results)