2013 Fiscal Year Research-status Report
尿中エクソソームアクアポリン1およびアクアポリン2排泄の生理的調節機構の基礎研究
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24780287
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
園田 紘子 宮崎大学, 農学部, 助教 (60608272)
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Keywords | バイオマーカー / エクソソーム / アクアポリン / 腎疾患 |
Research Abstract |
当該年度では、前年度から継続して尿中エクソソーム アクアポリン(AQP)タンパク質の生理的排泄調節についての検討を行った。 1. 尿中エクソソームAQP mRNA排泄の日内変動 雄性ラットから明期の6時間に蓄尿を行った。尿中エクソソームは超遠心によって分離した。エクソソームRNAはQIAGEN社の抽出キットを用いて抽出した。その結果、平均21 ng/ul(n=4)のtotal RNAが抽出された。その後逆転写を行い、AQP1およびAQP2の全長を増幅するプライマーを用いてPCRを行ったところ、AQP1およびAQP2の全長は増幅されなかった。このことから、尿中エクソソームには全長のAQP mRNAが含まれないことが示唆された。 2.体液の酸-塩基平衡の変化が尿中エクソソームAQP1タンパク質排泄に及ぼす影響 前年度は尿中エクソソームAQP2タンパク質について解析した為、当該年度ではAQP1タンパク質について解析を行った。 雄性ラットに酸性化薬であるNH4Clおよび塩基性化薬であるNaHCO3をそれぞれ経口投与した。投与後2時間の蓄尿を行い、その直後に採血および腎摘出を行った。血中pHの値は溶媒投与群では7.3であったのに対し、NH4Cl投与群では7.26、NaHCO3投与群では7.36とそれぞれ有意にアシドーシス、アルカローシスになっていた。尿中pHもそれに伴って、溶媒群で7.04であったのに対し、NH4Cl投与群では6.05、NaHCO3投与群では8.22とそれぞれ有意に酸性尿、塩基性尿になっていた。この時、尿中エクソソームAQP1タンパク質排泄量は溶媒投与群と比較してNH4Cl投与群およびNaHCO3投与群の両方の群で有意に減少していた。このことから体液の酸-塩基平衡の変化によって尿中エクソソームAQP1タンパク質排泄が影響を受けることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は尿中エクソソーム AQPタンパク質の生理的排泄調節について3年間にわたって明らかにしていくものである。 平成25年度までに計画通りに尿中エクソソーム AQPタンパク質の生理的排泄調節についての検討に着手し、3年分の計画のおおよそ2年分の進展がみられたと考えている。 当該年度に得た結果から尿中エクソソームに全長のAQPs mRNAが含まれていないことが示唆された。したがって、尿中エクソソームAQPs mRNAに関しては、バイオマーカーとして有用でない可能性が考えられた。今後は尿中エクソソームAQPタンパク質に焦点をあて、血圧の変化、ホルモンやオータコイドによる尿中エクソソームAQPタンパク質泄調節の解析について次年度検討していく予定である。 また、当該年度中に着手する計画であった尿中エクソソーム AQPタンパク質排泄分子メカニズムについての検討についても、予試験を行っており次年度に確実に結果を示せるものと考えている。 以上のことから、本研究はおおむね順調に進展しているものと自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.血圧の変化による尿中エクソソーム AQPタンパク質排泄への影響。 この実験では、高血圧の尿中エクソソームAQP排泄への影響を明らかにする。高血圧自然発症ラット(SHRラット)を用いて、3週齢から6週齢にかけて非観血的血圧計を用いて血圧をモニターしながら、経時的に採尿を行っていく。 2.ホルモンやオータコイドによる尿中エクソソーム AQPタンパク質排泄への影響。 この実験では、AQPの細胞内局在に関与するホルモン(vasopressin)やオータコイド(angiotensin II)による尿中エクソソームAQP排泄への影響を調べる。 3.尿中エクソソーム AQPタンパク質排泄分子メカニズムについての検討 この実験では尿中エクソソーム AQP1およびAQP2と結合しているタンパク質を免疫沈降法とプロテオーム解析によって探索する。
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