2012 Fiscal Year Research-status Report
伴侶動物由来腸内細菌における薬剤耐性、特にβ‐ラクタム耐性の疫学調査及び性状解析
Project/Area Number |
24780299
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
原田 和記 鳥取大学, 農学部, 准教授 (80549543)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 薬剤耐性菌 / 伴侶動物 / グラム陰性桿菌 |
Research Abstract |
今年度においては、個人の動物病院及び大学(日本獣医生命科学大学及び鳥取大学)附属動物病院に来院した犬や猫の病変部位より分離された各種グラム陰性桿菌(Proteus属菌、Klebsiella属菌、Enterobacter属菌及びSerratia属菌)の収集及びそれらの菌種同定を主として実施した。 対象とした細菌のうち、Proteus属菌については100株程と最も多く収集でき、それらの多くは、P. mirabilisであることが判明した。また、当該菌種については菌種同定に加え、E-testストリップを用いた薬剤感受性試験を実施し、薬剤耐性率の調査を行った。その結果、多くの株は調査対象薬剤に対しても感受性を示し、最も高い耐性率を示した薬剤はST合剤の10%であった。一方で、公衆衛生上重要視される第三世代セフェム系剤(セフォタキシム)に耐性を示す株が2%、フルオロキノロン剤(エンロフロキサシン)に耐性を示す株が7%と、それぞれ低率ながらも検出されたことから、犬や猫の伴侶動物がこれら重要耐性菌のリザーバーとなりうる可能性が示唆された。 また、その他のグラム陰性桿菌として、Klebsiella spp.が23株、Enterobacter spp.が20株、Serratia spp.が10株の収集を行った。いずれも泌尿生殖器系の検体から分離されるものがほとんどであり、これらのグラム陰性桿菌とこれら臓器に対する親和性が示唆される結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、分離株数としては計200~300株程度を想定していたが、分離株の収集が若干遅れており、現在のところ約計150株と想定よりも株が集まらない結果となっている。この理由として、検体数が想定よりも集まらなかったことと、収集した検体から今回の対象外の菌種(大腸菌、緑膿菌、ブドウ球菌など)が想定以上に多く分離されたことなどがあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
検体収集に協力いただける動物病院の数をさらに増加するように努める。また、他に対象となる菌種の犬猫由来株を収集されている研究者に分離株を譲渡いただけるか否かを打診してみる。さらに、次年度以降は分離された株の菌種同定及び薬剤感受性試験を実施することとしているが、それと同時並行で検体の収集を継続し、最低でも合計200株のグラム陰性桿菌の分離収集ができるように努める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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