2013 Fiscal Year Research-status Report
伴侶動物由来腸内細菌における薬剤耐性、特にβ‐ラクタム耐性の疫学調査及び性状解析
Project/Area Number |
24780299
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
原田 和記 鳥取大学, 農学部, 准教授 (80549543)
|
Keywords | 薬剤耐性菌 / 犬 / 腸内細菌 / セファロスポリナーゼ / インテグロン / フルオロキノロン耐性 |
Research Abstract |
前年度においては、一昨年度に引き続き、犬や猫から検体収集を行うとともに、収集株に対する薬剤感受性試験や遺伝子解析を進めた。 犬由来Proteus mirabilisは全体として103株を収集できた。薬剤感受性試験の結果、37株が調査薬剤14薬剤のいずれかに対して耐性を示した。耐性率は、CHLで最も高く20.4%であり、続いて、STRで15.5%、ENRで12.6%、TMSで10.7%、AMP及びKANで8.7%、CIPで5.8%、CEPで2.9%、FOX、CTX及びGENで1.9%であった。また、インテグロンの保有率は、クラス1が3株、クラス2が6株に検出され、それらには、STRやTMPに対する耐性遺伝子などが検出された。AMP耐性株9株の調査の結果、ESBL及びMBLは認められなかったが、5株がTEM-1のみを有し、DHA-1のみ、CMY-2のみを有する株が1株ずつ、TEM-1とCMY-4を同時に有する株が1株認められた。また、ENR耐性株8株のQRDRには、いずれの株も1~2箇所のアミノ酸置換が認められた。以上のことから、犬由来P. mirabilisにおいて薬剤耐性株は比較的少ないものの、多剤耐性機構に関与するインテグロンを保有する株や医療上も重要視されるキノロン耐性株・セファロスポリナーゼ保有株が少数ながらも存在していることが明らかとなった。 その他の腸内細菌科細菌として、Klebsiella属菌が78株、Enterobacter属菌が16株、Citrobactor属菌が6株、Serratia属菌が3株、Kluyvera属菌が2株、Providencia属菌及びRaoutella属菌がそれぞれ1株を収集した。またその他のグラム陰性桿菌として、Acinetobactor属菌が4株、Stenotrophomonas属菌が1株、Vibrio属菌を収集した。これらの株に対して今後解析を進める予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査対象となる検体数は、前年度までで十分数収集できたため。また、収集した菌種の中の1菌種であるProteus mirabilisについてはおおよその調査が終了したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
十分数の検体が収集できたため、今後は、検体収集は終了し、収集株の薬剤感受性試験や遺伝子解析に専念して進めることとする。また、Proteus mirabilisの調査は、概ね終了したことから、若干の追加実験を行った後に、学会発表や論文投稿への準備を行うこととする。
|