2015 Fiscal Year Annual Research Report
伴侶動物由来腸内細菌における薬剤耐性、特にβ‐ラクタム耐性の疫学調査及び性状解析
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24780299
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
原田 和記 鳥取大学, 農学部, 准教授 (80549543)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 微生物 / 獣医学 / 薬剤耐性菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、伴侶動物に由来する各種グラム陰性桿菌に関する薬剤耐性分布状況およびβ-ラクタム耐性を中心とした薬剤耐性の分子機構について調査を行った。菌種については、最も分離される機会の多い大腸菌の他、比較的分離率の高いプロテウス菌、クレブシエラ菌、エンテロバクター菌、アシネトバクター菌を対象とした。大腸菌においては、第3世代セファロスポリン耐性大腸菌80株についてβ-ラクタマーゼを調査したところ54株が基質拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)を有しており、うち48株がCTX-M型のESBLであった。 プロテウス菌103株において14薬剤に対する耐性率を調査したところ、いずれも25%以下の耐性率であり、顕著な耐性株の流行は認められなかった。しかし、少数ながらAmpC型β-ラクタマーゼが検出された他、クラス1インテグロン、プラスミド媒介性キノロン耐性遺伝子(PMQR)も検出されたため、これらのリザーバーとして注意する必要があると思われた。 クレブシエラ菌103株において12薬剤に対する耐性率を調査したところ、多くの薬剤で約40%の耐性率を示した。うち31株ではESBLまたはAmpC型β-ラクタマーゼが検出され、これらESBLの多くはCTX-M型であり大腸菌と同様の傾向であった。さらに、MLSTやPFGE解析による疫学解析の結果、ESBL産生株の多くは同一のクローンである可能性が示唆された。 エンテロバクター菌61株においては、第3世代セファロスポリンに対する耐性が26株で認められ、うち16株がESBL陽性で残りの10株は染色体性AmpCの過剰産生によるものであった。 アシネトバクター菌59株では、9株がピペラシリンに耐性を示すも他のβラクタム剤に対する耐性は認められなった。また、他の薬剤に耐性率も10%以下であり、耐性株の分布は乏しいと考えられる。
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