2013 Fiscal Year Annual Research Report
11β―HSD阻害剤による犬下垂体ACTH産生腺腫を標的とした治療に関する研究
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24780315
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
手嶋 隆洋 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 助教 (80610708)
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Keywords | 下垂体 / クッシング症候群 / 11β-HSD |
Research Abstract |
本研究は11β-hydroxysteroid dehydrogenase(11β-HSD)阻害剤による犬下垂体ACTH産生腺腫をターゲットとした治療に関する研究である。平成25年度は昨年度の結果をもとに、健常犬に対して中長期的に11β-HSD阻害剤を投与した場合の、内分泌学的変化および生理学的変化など、どのような影響が現れるかについて検討した。具体的な内容としては、次の①~④を検討した。①下垂体-副腎軸における内分泌学的変化について血中ホルモン濃度を経時的に測定。②生理学的変化の指標として、血液生化学マーカーを経時的に測定。③中長期的投与後の、下垂体および副腎における遺伝子発現量の変化に関する検討。④投与後の下垂体および副腎組織に関する免疫組織学的検討。 昨年度の研究結果より、11β-HSD阻害剤が犬に与える影響には用量依存的な変化がみられることが明らかになっており、中長期的な投与においても、下垂体からのACTH分泌の抑制および副腎からのコルチゾール分泌の抑制が確認された(①)。また、投与期間中および投与後の血液生化学マーカーには変化はみられず、健常犬においては安全であることが確認された(②)。11β-HSD阻害剤が下垂体および副腎組織における影響を遺伝子発現量の面から検討した結果、ACTHおよびコルチゾールの産生分泌に関与する複数の遺伝子において顕著な変化が認められた(③)。免疫組織学的検討では、ホルモン分泌の低下を示唆する組織学的変化が認められた(④)。 昨年度の研究結果も含め、これらの研究結果から、11β-HSD阻害剤は犬下垂体ACTH産生腺腫(Cushing's disease)の治療において用いられてる従来の薬剤とは異なり、本疾患の原因である下垂体ACTH産生腺腫に対して直接的な効果を持つ可能性が非常に高いことが示唆された。
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