2012 Fiscal Year Research-status Report
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24790113
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山川 直樹 慶應義塾大学, 薬学部, 助教 (20583040)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | NSAIDs |
Research Abstract |
(1)NSAIDs依存に発現が変化する遺伝子を網羅的に同定する 我々が胃粘膜細胞を用いて行った、インドメタシンにより発現が変化する遺伝子のDNAチップ解析(約4000のヒト遺伝子を含むDNAチップを使用)は、NSAIDsの作用機構の解明に大変有用であった。そこでヒトの全遺伝子を含むDNAチップを用いて、また種々のNSAIDs(インドメタシン、抗癌作用の強いセレコキシブ、抗アルツハイマー作用の強いイブプロフェン)を用いて、さらに種々の細胞(胃粘膜細胞、神経細胞、癌細胞)を用いて、より大規模にNSAIDs依存に発現が変化する遺伝子の網羅的同定を行った。発現変化が確認された遺伝子の中から、過去の文献等の情報を基に、NSAIDsの薬理作用(抗炎症・抗癌・抗アルツハイマー作用、胃潰瘍副作用)に関与している可能性が高いものを選び、(2)の研究の対象とした。 (2)NSAIDsによる遺伝子発現変化が、NSAIDsの多彩な薬理作用にどのように関与しているかを明らかにする 我々がこれまでに確立してきたそれぞれの薬理作用に関するアッセイシステムを用いて、まず細胞レベルで検討した。抗癌作用に関しては癌細胞を用いた、NSAIDsによるアポトーシス誘導・足場非依存的増殖の抑制・浸潤抑制・運動性抑制などのアッセイシステムを用いた。 同様な方法でNSAIDsによる各遺伝子の発現変化が、NSAIDsの抗炎症・抗アルツハイマー作用、胃潰瘍副作用にどのように関与しているのかを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のように、NSAIDs依存に発現が変化する遺伝子を網羅的に同定する研究に関しては、ヒトの全遺伝子を含むDNAチップを用いて、また種々のNSAIDs(インドメタシン、抗癌作用の強いセレコキシブ、抗アルツハイマー作用の強いイブプロフェン)を用いて、さらに種々の細胞(胃粘膜細胞、神経細胞、癌細胞)を用いて、より大規模にNSAIDs依存に発現が変化する遺伝子の網羅的同定を行った。また、NSAIDsによる遺伝子発現変化が、NSAIDsの多彩な薬理作用にどのように関与しているかを明らかにする研究に関しては、癌作用に関しては癌細胞を用いた、NSAIDsによるアポトーシス誘導・足場非依存的増殖の抑制・浸潤抑制・運動性抑制などのアッセイシステムを用いた。このように、申請時の研究計画に沿って研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
NSAIDs既存薬ライブラリーから、ターゲット遺伝子の発現変化作用が強いもの(あるいは弱いもの)を選択する:我々は、既存のNSAIDs(約100種)からなるNSAIDs既存薬ライブラリーを構築している。そこでこのライブラリーから、既に同定しているターゲット遺伝子(HO-1・CHOP・TJ遺伝子・小胞体シャペロン・HSP)、及び(2)の研究で決定したターゲット遺伝子の発現変化作用が強い(あるいは弱い)ものを選択する。その際、発現変化に必要な絶対的な濃度だけでなく、他の作用(例えば細胞毒性)に比べより低い濃度で発現変化させるという観点からも化合物の選択を行う。尚、それぞれの遺伝子のプロモーターの下流にルシフェラーゼ遺伝子を挿入したレポータープラスミドを用いたレポーターアッセイで一次スクリーニングを、各タンパク質の誘導をイムノブロット法で調べる方法で二次スクリーニングを行う予定である。次に、NSAIDを動物に投与しターゲット遺伝子の発現変化を調べる。最終的には、NSAIDの種々の薬理作用を動物実験で検討し、胃潰瘍副作用の少ない既存NSAIDs、抗炎症・抗癌・抗アルツハイマー作用の強いNSAIDs既存薬を同定する。 選択した既存NSAIDの誘導体を合成し、より有用なNSAIDsを選択する;上の研究で選択した既存NSAIDsの周辺化合物の合成を行う。その際、明確な合成戦略を立てて系統的に合成を行う。例えば胃潰瘍副作用の少ないNSAIDの場合、膜傷害性が少ないNSAIDを得るために、NSAIDと膜との相互作用をシミュレーションし合成戦略を立てた結果、高い確率で膜傷害性の少ないNSAIDを得ることが出来た。そこでターゲットする分子(転写因子など)の高次構造が解明されている場合は、MOEを用いたドッキングシミュレーションを行い誘導体の合成戦略を練る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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