2012 Fiscal Year Research-status Report
医薬品及び環境化学物質のアレルギー発症における代謝活性化の関与とその構造的要因
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24790126
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Research Institution | Nihon Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
浦丸 直人 日本薬科大学, 薬学部, 助教 (90424069)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 薬物アレルギー / 環境化学物質 / 代謝的活性化 |
Research Abstract |
医薬品を始めとする化学物質(環境化学物質を含む)を起因とする薬物アレルギーが問題となっている。申請者は、これまでに重篤な副作用として薬物アレルギーを発症する医薬品であるアンチピリンの抗原化機構に代謝活性化が関与することを明らかにした。しかしながら薬物アレルギー発現における明確なる化学物質の構造的要因を明らかにするには至っていない。本申請課題は、薬物アレルギーを誘発する化学物質として医薬品及び環境化学物質を広く取り上げ、薬物アレルギー発症における化学物質の代謝活性化の関与、化学構造的要因の全容を明らかにすることを目的とした。 本年度は、香粧品中の保存料であるパラベン類に着目して研究を行った。パラベン類は、抗菌作用を有し、保存料として食品、化粧品、医薬品などの様々な製品に使用されており、特に香粧品中では最も頻繁に使用されている保存料である。香粧品の特性上、直接、皮膚に使用するため、接触皮膚炎等のアレルギー症状が懸念されている。パラベン類のアレルギー反応及びその化学構造的要因を検討する目的として、種々のパラベン類のラット皮膚ミクロソームにおける代謝反応の検討を行い、種々のパラベン類により加水分解活性が変動することを見出した。ラット肥満細胞を用いたヒスタミン遊離試験において、種々のパラベン類により、ヒスタミン遊離活性が変動すること、また代謝物であるパラヒドロキシ安息香酸にはヒスタミン遊離活性が認められないことを見出いた。モルモットにおける皮膚感作性試験においては、ブチルパラベンにおいて抗原性が認められたのに対して、代謝物であるパラヒドロキシ安息香酸には抗原性が認められないことを見出した。これらの結果は、種々のパラベン類に抗原性があることを示唆しており、また、活性発現には生体内代謝の影響が小さいと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象化学物質を当初は広く捉えていたが、まずは、パラベン類に絞って研究を展開することにより、アレルギー発症に至る構造活性相関、代謝による影響を明らかにすることができ、一定の成果が得られたと考えれる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の研究計画として、紫外線吸収剤を始めとするパラベン類以外の化学物質での検討、薬物アレルギーのマーカーとなりうるサイトカインの活性変動、T細胞への親和性への影響について検討する課題を計画している。さらに、新たにアレルギー反応に関与する各種核内受容体への親和性を検討する課題を加える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度はパラベン類に絞って研究を展開したことにより、予定していた研究費を下回ったため、次年度に新たな研究課題を追加することが出来た。次年度は、ルミノメーターの購入することにより、核内受容体への親和性とアレルギー発現との関連に関する研究に着手する。
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