2013 Fiscal Year Research-status Report
メイラード反応物ABAQ及びその関連物質の糖尿病状態での生成及びその生態影響
Project/Area Number |
24790132
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
長谷井 友尋 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (10388027)
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Keywords | 糖尿病 / がん / 遺伝毒性 / メイラード反応 / ヘテロサイクリックアミン / 糖 / アミノ酸 |
Research Abstract |
平成25年度における本研究課題では、glucose及びtryptophan間のメイラード反応において生成する変異原性物質5-amino-6-hydroxy-8H-benzo[6,7]azepino[5,4,3-de]quinolin-7-one(ABAQ)について、糖尿病ラットの尿中からの分析及びメイラード反応によって生成するABAQ以外の変異原性物質の検索を実施した。 昨年度より検討していたラットの尿中に含まれるABAQの分析法において、その精製条件を検討した。これまで、ラットから得られた尿を、固相抽出を用いて精製していた。しかしながら、その回収率の再現性が低く、検出量にばらつきがみられた。今年度、固相抽出の代わりに中圧カラムを用いて精製することで、回収率の再現性に改善が認められた。次年度はこの精製法を用いて得られた尿を精製し、分析を実施する。 メイラードモデル反応系から得られた抽出物を、各種クロマトグラフィーを用いて数段階分画した結果、ABAQ溶出画分以外の画分から変異原性を有する単一の化合物が認められた。この変異原性物質はABAQとは異なった保持時間及び紫外線(UV)吸収スペクトルを有することから、本メイラード反応系において、ABAQ以外の変異原性物質が生成していることが示唆された。しかしながら、現在、この変異原性物質は核磁気共鳴(NMR)スペクトルの測定や質量分析などの構造解析を実行できる十分量が得られていない。次年度は、今年度までに検討した手法を用いて、この変異原性物質を構造解析が実施できる十分量を集め、その構造解析を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メイラードモデル系によって生成するABAQ以外の変異原性物質の検索については未だ同定には至っていないものの、既に単離できている。また、尿中に含まれるABAQの精製法についても検討できている。これらのことから、全体的な研究の達成度としては概ね順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
メイラード反応モデル系によって生成するABAQ以外の変異原性物質の同定を最優先の課題として取り組む。また、糖尿病ラットの尿中に含まれるABAQの分析のほかに、食品中に含まれるglucose及びtryptophanによるメイラード反応によってもABAQが生成している可能性があるので、食品中のABAQについて分析を行う。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] In vivo genotoxicity of a novel heterocyclic amine,aminobenzoazepinoquinolinone-derivative (ABAQ), produced by theMaillard reaction between glucose and l-tryptophan2014
Author(s)
Yukari Totsuka, Tetsushi Watanabe, Souleymane Coulibaly, Sae Kobayashi, Marina Nishizaki, Miho Okazaki, Tomohiro Hasei, Keiji Wakabayashi, Hitoshi Nakagama
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Journal Title
Mutation Research/Genetic Toxicology and Environmental Mutagenesis
Volume: 760
Pages: 48-55
DOI
Peer Reviewed
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