2012 Fiscal Year Research-status Report
オートファジーにおけるクロライドイオンの新規制御機構の解明とがん治療への応用
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24790220
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
細木 誠之 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30433254)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | クロライドイオン / リソソーム / オートファジー |
Research Abstract |
MEFによる検討では初代培養のMEFを用いて細胞内のリソソームのpH測定をlysosensor を用いて共焦点顕微鏡にて行った。測定時には顕微鏡上に培養チャンバーを設置し5%炭酸ガス下に37℃下に実験を行った。MEFのリソソームpHは5.24±0.11であった。低クロライド培地を作成し、同培地下にて培養することでリソソームのpH は6.25±0.06と有意に上昇した。またリソソームのpHの上昇に加えて、細胞あたりのリソソーム量の増加を認めた。 癌細胞においての検討について胃癌細胞株であるMKN28を用いたところリソソームp Hは3.85±0.04とMEFより酸性であり、低クロライド培地にて培養することでリソソームのpH は4.68±0.08と有意に上昇した。Serum starvation によりリソソームpHに及ぼす影響を検討したところ、リソソーム内のpHは若干低下傾向を認めたが有意な低下は認められなかった。また細胞内クロライドイオン濃度にもSerum starvation による差は認められなかった。Low Cl 環境においての培養にて癌細胞内に多数のリソソームの増加を認めた。 オートファジーの障害を評価するため、LC3、p62の発現を確認したところ低クロライド培地下の培養にていずれも細胞内に増加することを免疫染色、及びウエスタンブロットにて確認し、またlow Cl medium下にserum starvation を行ったところ、いずれのタンパクの増加を認めた。 このようにいずれの細胞においてもリソソームのpH 制御にクロライドイオンが重要であり、クロライドの低下にてリソソームのpHがアルカリ側にシフトされることが明らかになった。またリソソームの機能低下によるオートファジー障害が引き起こされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在研究を継続して行っており、順調に研究は遂行していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在研究を継続して行っており、今後、がん細胞株において低クロライド環境がオートファゴゾーム形成に及ぼす影響とカテプシンB活性に及ぼす影響、またリソソーム膜クロライド輸送タンパクの発現を解析していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究において用いる実験手技に必要な、倒立型共焦点顕微鏡や顕微鏡下培養装置、細胞培養環境、遺伝子導入に関わる設備、などの機器類は、すでに当研究室で保有しているか、京都府立医科大学の共通利用施設で使用可能なものであり、当該研究において設備備品費の申請は行わない。 また、当該実験では主として培養細胞を用いて実験を行うため細胞の維持管理に、培地およびウシ胎児血清などを大量に必要とする。また、実験手技的に蛍光試薬による、細胞内タンパクの局在評価やクロライドイオン濃度測定を行なうため多くの蛍光試薬を必要とし、また細胞内局在評価にトランスフェクション試薬が必要となる。
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Research Products
(1 results)