2013 Fiscal Year Annual Research Report
肥満により誘発される不安とうつ症状の脳内機構:PrRPニューロンの働き
Project/Area Number |
24790237
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
吉田 匡秀 自治医科大学, 医学部, 助教 (30533955)
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Keywords | プロラクチン放出ペプチド / ストレス |
Research Abstract |
本研究は、レプチン抵抗性による不安、うつ様行動惹起の原因がプロラクチン放出ペプチド(PrRP)機能の減弱に依るものであるという仮説を検証する。 延髄PrRP産生ニューロンは精神的ストレスである条件恐怖刺激によって活性化された。PrRP産生ニューロンを活性化する神経回路を明らかにするため、恐怖条件付け後に基底外側扁桃体または内側扁桃体を破壊したラットを用いて解析した。対照群では条件恐怖刺激によりすくみ行動と神経内分泌反応が観察された。基底外側扁桃体破壊群ではすくみ行動と神経内分泌反応の両者が有意に減弱していた。一方で、内側扁桃体破壊群ではすくみ行動は対照群と同様であったが、神経内分泌反応は有意に減弱していた。新奇環境に暴露したときの神経内分泌反応は対照群と内側扁桃体破壊群に有意な差は認められなかった。条件恐怖刺激により対照群では延髄PrRP産生ニューロンが活性化された。一方で、内側扁桃体破壊群では活性化が減弱していた。PrRP遺伝子欠損マウスは野生型マウスに比べ、すくみ行動が有意に亢進していた一方で、神経内分泌反応が消失していた。以上の結果から精神的ストレスによる神経内分泌反応には基底外側扁桃体―内側扁桃体-延髄PrRP産生ニューロン経路が重要であると考えられた。PrRP遺伝子欠損マウスを用いた解析から内因性のPrRPは恐怖行動を緩和する働きを持つ可能性がある(論文査読中)。またPrRP産生ニューロンを選択的に破壊するために作成したPrRP産生ニューロン特異的にヒト-インターロイキン2受容体(hIL2R)を発現するBACクローントランスジェニックラットにおいて、hIL2Rが内在性のPrRP産生ニューロンと共局在していることを確認した。
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