2012 Fiscal Year Research-status Report
個体内での血管新生・再生におけるβカテニンの機能解析
Project/Area Number |
24790304
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺井 健太 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (20616073)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 血管形成 / 次世代シークエンサー |
Research Abstract |
平成24年度の計画である【目的1】血管新生におけるβカテニンの転写活性変化を明らかにする、に対して、1)βカテニン転写活性を血管内皮特異的にモニターするためのゼブラフィッシュを作製した。2)上記のゼブラフィッシュを用いて、発生時におけるGFP蛍光強度(ベータカテニン転写能)を解析した。 この結果より、血管形成過程において、ベータカテニンの活性は時間特異的、部位特異的に活性化していることが明らかとなった。ベータカテニンが活性化している部位の一つとして、房室弁形成時が認められた。弁形成時βカテニンの転写能が亢進する事については既に報告があるが、我々の実験系が機能している事を強く示している。また、房室弁以外にも部位特異的、時間特異的なベータカテニンの活性化を確認しており、現在解析を進めている。 更に、ベータカテニン転写活性が高い部位におけるβカテニンの転写抑制がどのような影響を与えるか、優勢劣性変異体を血管内皮に発現させ検討した。その結果、ベータカテニンの転写活性は、血管新生に必須であることを明らかにした。現在、ベータカテニンの転写抑制によって起こる表現型と、ベータカテニンの転写産物との関連性について検討中である。 次に、上記のベータカテニンが活性化している血管内皮細胞を、GFPをマーカーとしてセルソーターを用いて回収し、次世代シークエンサーにて血管の部位特異的に発現亢進しているmRNAを解析した。その結果より、いくつかの候補遺伝子を挙げることができた。現在、それらの転写産物と血管形成の関連性について検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的1である”血管新生におけるβカテニンの転写活性変化を明らかにする”ことに対しては順調に進展している。既に、ベータカテニンをモニターするトランスジェニックZebrafishは作成済みである。上記のZebrafishの解析より、時間的、空間的特異的にベータカテニンが活性化することが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
明らかにすべきことは①ベータカテニンが活性化している部位における、その転写活性と表現型の関連性、②部位特異的なベータカテニン活性の上流因子、③活性化しているβカテニンによる転写産物(mRNA)である。 ①に対しては計画書通りに進める。②に対しては、種々の阻害薬を用いて現在スクリーニング中である。③に対しては、次世代シークエンサーを用いる。次世代シークエンサーを用いたRNA-seqの系は、一般的には10^5以上の細胞を要求しているが、我々の系で回収できる細胞は、10^3細胞/週であった。この問題を克服するために、少数細胞からRNA-seqを可能にする系の確立を試み、現在は10^4程度の細胞数でも信頼度の高い結果が得られることを確認している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Zebrafishの維持管理と次世代シークエンサーを用いた解析目的に、研究費を使用する。ほぼすべて消耗品・試薬類である。
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