2014 Fiscal Year Annual Research Report
個体内での血管新生・再生におけるβカテニンの機能解析
Project/Area Number |
24790304
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺井 健太 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 特任助教 (20616073)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 血管新生 / ゼブラフィッシュ / 次世代シークエンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
{背景・目的}βカテニンは転写因子であり、血管内皮特異的に欠損、または活性化させたマウスは、胎生期において血管形成異常により致死となる。この結果は、血管内皮におけるβカテニンの転写活性は厳密に制御されていることを示しているが、詳細な機序はいまだ不明である。 ゼブラフィッシュを用いて、血管新生時おけるβカテニンの転写活性を血管内皮特異的に解析する。どの時期に、どの細胞で活性化が起こり、どのようにして活性化を誘導し、どのような機能をしているのか明らかにする。 {成果}βカテニンの転写活性変化を明らかにするために、βカテニンの活性をモニターするゼブラフィッシュを作製し、観察した。その結果、尾部静脈叢に強いGFPの蛍光を検出した。更に、血管内皮特異的にβカテニンの転写活性を抑制し、形態に与える影響を解析した結果、尾部静脈叢特異的に細胞死が誘導され、形態の異常が認められた。この事から、βカテニンの転写能は、尾部静脈叢形成に必須であることが明らかとなった。 尾部静脈叢のβカテニン転写活性能は、どのような分子を介して活性化され、どのような機能を持っているのか明らかにするために、遺伝子発現プロファイルの変化を解析した。その結果、AGGF1・Nr2f2がβカテニン転写活性と高い相関を示した。AGGF1の発現抑制を行ったゼブラフィッシュでは、βカテニン転写活性の減少が認められたことより、AGGF1がβカテニン転写活性能を制御していることが示唆された。また、人工的にβカテニンを活性化するとNr2f2の発現は尾部静脈叢において上昇した。これらの結果より、Nr2f2の発現がβカテニン依存的であることが示唆された。 以上の結果より、βカテニンは尾部静脈叢形成時に活性化されており、その機能は静脈の分化・生存に関与していることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] β-Catenin-dependent transcription is central to Bmp-mediated formation of venous vessels2015
Author(s)
Kashiwada T, Fukuhara S, Terai K, Tanaka T, Wakayama Y, Ando K, Nakajima H, Fukui H, Yuge S, Saito Y, Gemma A, Mochizuki N.
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Journal Title
Development.
Volume: 142(3)
Pages: 497-509.
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant