2013 Fiscal Year Annual Research Report
Nrf2を介した慢性炎症応答制御による動脈硬化症進行機構の解明
Project/Area Number |
24790305
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
原田 伸彦 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20431439)
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Keywords | 動脈硬化症 / マクロファージ |
Research Abstract |
動脈硬化巣では炎症性マクロファージ(M1)や抗炎症性マクロファージ(M2)などのマクロファージが混在し、この局所的な炎症応答バランスと病態進行との関連性が示唆されており、転写因子Nrf2がこのマクロファージ炎症バランスに関与しているかどうかをApoE遺伝子欠損動脈硬化症モデルマウスをNrf2遺伝子との二重欠損マウスにして、高脂肪食投与による動脈硬化巣に与える影響を経時的に解析した。初期の病巣の形成に差はみられないが,進行した病巣では二重欠損マウスでは抑制が起こることが明らかになった。これら病巣における遺伝子の発現について解析したところ、 特に後期の硬化巣においてM1を示す遺伝子群が低下していたがM2を示す遺伝子群に変化は見られなかった。このことから、Nrf2欠損では後期の動脈硬化巣においてM1マクロファージへの分化を抑制することにより病巣を抑制することが示唆された。一方、骨髄細胞特異的にNrf2の発現を欠損させたところ、後期の動脈硬化巣の形成が抑制されることが明らかになり、マクロファージのNrf2が動脈硬化巣の進行に影響していることが示された。慢性炎症である動脈硬化症へのNrf2の影響として、Nrf2は動脈硬化巣の初期病変ではあまり関与していないが、後期の病巣の一部のマクロファージで活性化し、マクロファージの性状に関与することが明らかになり、それが病巣の進行に影響することが明らかになった。また、二重欠損マウスの後期の病巣では新規のNrf2の新規標的遺伝子となり得るいくつかの遺伝子の発現が低下していることが明らかになる一方でNrf2の標的遺伝子としてよく知られているNqo1には変化がみられなかった。このことから、後期の動脈硬化巣病変のマクロファージに特異的なNrf2による遺伝子発現が起こっていて、これが病巣の進行に関与するのではないかと考えられる。
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