2012 Fiscal Year Research-status Report
多民族のサルコイドーシス患者を対象とした遺伝要因の解明
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24790338
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
目黒 明 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (60508802)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | サルコイドーシス / 遺伝子 |
Research Abstract |
サルコイドーシスは、全身の諸臓器・組織に、非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が形成され、様々な臓器傷害を呈する疾患である。本邦において、ぶどう膜炎の原因疾患として上位を占め、心臓病変を主因とする死亡の割合が高い。そのため、サルコイドーシスの予防および迅速な診断法を確立することは、非常に有意義なものといえる。私たちは、日本人サルコイドーシス患者を対象としたゲノムワイドな関連解析(genome-wide association study: GWAS)を完了しており、日本人サルコイドーシス患者の発症リスクと相関を示す遺伝子変異(SNP:一塩基多型)の情報をすでに取得している。したがって本研究では、日本人のGWASで有意性を示したSNPについて、新たな集団を対象に相関解析(再現性の検討)を行い、サルコイドーシスと真に相関する遺伝因子を同定する。 平成24年度は、日本人のGWAS集団で有意性を示したSNPを対象に、新たな日本人集団およびチェコ人集団を用いて相関解析を実行した。SNPのgenotypingは、Illumina GoldenGate genotyping AssayおよびTaqMan Genotyping Assayにより行われた。解析の結果、すべての集団において、有意な相関を示す6個の遺伝子変異を見出した。さらに、すべての集団を総合的に検討したメタ解析を行った結果、1個の遺伝子変異において、ゲノムワイドな相関(genome-wide significant association)が認められた。 ゲノムワイドな相関を示す遺伝子変異は免疫応答に深く関与する遺伝子上に位置する。したがって、この遺伝子がサルコイドーシスの発症において重要な役割を担っている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、日本人サルコイドーシス患者を対象としたGWASで有意性を示したSNPについて、新たな集団を対象に相関解析(再現性の検討)を行い、サルコイドーシスと真に相関する遺伝因子を同定する。その後、さらに、同定された遺伝情報をもとに、遺伝子の機能解析を行い、サルコイドーシスの発症機序の解明を行う。 現在までに、GWASで得られた結果について、新たな日本人集団およびチェコ人集団を対象とした再現性の検討を完了しており、サルコイドーシスの非常に有力な疾患感受性遺伝子を見出している。本遺伝子は新規の疾患感受性遺伝子であり、免疫応答に重要に関与している。したがって、本遺伝子を対象とした解析をより詳細に進めることで、サルコイドーシスの発症機序の解明が可能になるとともに、サルコイドーシスの新規の治療薬の開発につながることが期待される。 以上より、本研究は当初の研究計画のとおり、「おおむね順調に進展している。」といえる。今後引き続き研究を進めることで、当初の目標を達成できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度までに、人種を超えてサルコイドーシスとゲノムワイドに相関する1遺伝子を同定している。したがって、平成25年度は、本遺伝子領域を対象に、より詳細な遺伝子解析を実行する。具体的には、すでに得られている本遺伝子領域の遺伝子変異の情報をもとにimputatuion analysisを行うとともに、本遺伝子領域内に任意にSNPを設定してfine mappingを実行する。このように、imputatuion analysisおよびfine mappingを実行することで、本遺伝子領域において、サルコイドーシスと最も顕著に相関する遺伝子変異の特定を行う。 さらに、本遺伝子を対象とした機能解析も実行する。得られた遺伝子変異の情報をもとに、病因アリルによる遺伝子発現量の相違の解析、in situ hybridizationによる疾患感受性遺伝子の局在の解析、およびタンパク質の立体構造解析などを行い、本遺伝子がサルコイドーシスの発症にどうのように関与するかを検討する。 以上に示した実験法はいずれも研究代表者が得意とするものであり、今後の研究が滞りなく進展することが期待できる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(13 results)