2012 Fiscal Year Research-status Report
アジア人で多く発症するEGFR変異型肺腺がんリスクに関わる遺伝要因の解明
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24790340
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
白石 航也 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (80609719)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
本年度の研究目的である検証研究用DNA試料の調整・遺伝子変異情報の取得は順調に推移し、肺がん手術標本約750例からのDNA抽出並びにバイオプシーなどの組織診断用の余剰検体からのDNA抽出を約200例行い、HRMAを用いてEGFR変異の検索を行った。さらに、Illumina Omini1チップで約70万SNPsの遺伝子型を決定した症例のうち、EGFR変異情報が分からなかった約300例の肺腺がん症例についても同様にHRMAを用いてEGFR変異の検索を行こなった。その内181例のEGFR変異を伴う肺腺がんが認められた。そこで181例のEGFR変異を伴う肺腺がんを検出研究に追加し、最終的にEGFR変異を伴う肺腺がん701例とバイオバンクジャパンの非がん対照群4,776例を用いて、再度全ゲノム関連解析を行った。その結果、今までの研究において肺腺がんリスクと関連が認められていたTERT, TP63, BPTF遺伝子の多型のほかに、さらに複数のEGFR変異を伴う肺腺がん感受性遺伝子の同定に至った。 さらに検出研究に用いるDNA試料を確保するため、研究開始前試料である約600例の肺がん及び正常組織からDNAの抽出を行う予定である。しかしながら、遺伝子多型研究ではオッズ比1.2程度の感受性遺伝子を同定するには、さらなる検証研究用の検体が必要である。そこでさらなる研究に必要な検体の確保を目指すため、国立がん研究センター中央病院で実施されている新包括同意検体を用いることが可能か検討中である。 また肺正常肺組織からのRNA抽出は230例分が完了し、cDNAを作成した。これにより、TaqMan gene expression assayによる責任遺伝子の発現解析を行うことが可能となり、今後同定できると考えられる責任遺伝子の発現量と多型との関連について検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたとおり、平成24年度に計画していた通りに研究は推移している。但し、今年度採択されたShiraishi et al., Nature Genetics 2012において査読者に、「検証研究が1つだけでは真の肺腺がん感受性遺伝子を同定したとはいえない」と指摘された。従って、当時作成した研究計画よりさらにもう一つの検証研究がなければ、真のEGFR変異陽性肺腺がん感受性遺伝子を同定したとはいえないかもしれない。そのため、今年度に続いて来年度でも同様に新規のEGFR変異陽性肺腺がん症例の収集を続ける。
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Strategy for Future Research Activity |
検証研究に用いる症例をさらに追加する必要があり、次年度も継続して遺伝子変異検索を行う。また遺伝子多型研究は非常に研究スピード速いため、国際学会などに積極的に出席することで積極的に情報収集に努める。また肺がんに対する国際コンソーシアムがいくつかあることから、これらのプロジェクトに参加することで、国際交流を深めていく予定である。また次年度においては、上位100SNPsの遺伝子型の決定を進めるとともに、さらに再現されたSNPsについては、現在進めている独立した検出研究を用いてさらに検証し、次年度中の論文投稿を目指す。よって次年度の研究費は、国際学会への参加のための旅費と遺伝子型を決定するための試薬購入のための物品費に充てる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度から行ってきた関連解析や試料・診療情報・遺伝子変異情報の収集を引き続き行うとともに、平成25年度はEGFR変異陰性腺がんについても同様に解析を行う予定である。まずは、EGFR変異を伴う肺腺がんを中心に解析を行い、まずは新の責任遺伝子の同定を目指す。そのためまずはインベーダー法による上位100SNPのタイピングを行う。さらに同定された遺伝子座における未解析SNPを用いたMappingを行い、関連の中心となるSNPを同定する。この際、連鎖不平衡を考慮しながら、解析SNPや解析症例数を絞るなど、省コストでの解析を計画・進行する。また解析手法などが時勢によって変わることが予想されるため、関連する論文などの情報収集を行い、柔軟に対応できるように準備する。近年、TAGCといったがん部での遺伝子発現、メチル化、コピー数変化などの公開データが充実してきている。今後はこれらの活用も視野に入れて解析を進める。また遺伝子多型の機能的意義を解明するため、責任遺伝子の発現量と同定された責任遺伝子の多型との関連についても引き続き検討を行う。 各関連解析で得られた遺伝子については、複数多型の組み合わせに基づいたスコアリングを行い、重みづけ等を考慮した予測スコアを構築する。研究期間中も試料・診療情報の収集・遺伝子変異検索を続行し、構築した予測スコアの再現性・正確性等のfeasibilityを検証する予定である。
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[Journal Article] A genome-wide association study identifies two new susceptibility loci for lung adenocarcinoma in the Japanese population.2012
Author(s)
Shiraishi K, Kunitoh H, Daigo Y, Takahashi A, Goto K, Sakamoto H, Ohnami S, Shimada Y, Ashikawa K, Saito A, Watanabe S, Tsuta K, Kamatani N, Yoshida T, Nakamura Y, Yokota J, Kubo M, Kohno T.
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Journal Title
Nat Genet
Volume: 44
Pages: 900-903
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] A genome-wide association study identifies two new susceptibility loci for lung adenocarcinoma in the Japanese population2012
Author(s)
Kouya Shiraishi, Hideo Kunitoh Yataro Daigo, Atsushi Takahashi, Koichi Goto, Hiromi Sakamoto, ..., Teruhiko Yoshida, Yusuke Nakamura, Jun Yokota, Michiaki Kubo, Takashi Kohno.
Organizer
An AACR Special Conference on Post-GWAS horizons in molecular epidemiology
Place of Presentation
Hollywood, FL, USA
Year and Date
20121111-20121114
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