2012 Fiscal Year Research-status Report
中枢神経原発悪性リンパ腫の生物学的特性の解明と治療効果予測因子の同定
Project/Area Number |
24790341
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
畑中 佳奈子 北海道大学, 大学病院, 助教 (10399834)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 中枢神経原発悪性リンパ腫 / 治療効果予測 |
Research Abstract |
本研究は中枢神経原発大細胞性B細胞性リンパ腫(CNS-DLBCL)を対象として行う研究であり、1) 生物学的特性を解明し、2) 既存の治療に対しての治療効果予測因子を見出し、3) 新しい治療ターゲットになりえる分子について解析することを目的としている。そのうち本年度は以下の点に関して課題に取り組んだ。 1)生物学的特性の解明: a)免疫学的形質のプロファイリング: 対象症例28例を抽出し、ホルマリン固定後パラフィン検体における免疫組織化学を施行した。CD3, CD20, CD5, CD10, BCL6, MUM-1, EBER1-ISHにて胚中心型(GC type)と活性型(Non-GC type)に分け、GC typeは7例、Non-GC typeは21例であった。一般に生物学的予後不良群と考えられているNon-GC typeが多かった。 b)分子病理学的解析による増殖活性の検討:Ki-67抗体にて免疫組織化学にて増殖活性を検討し、Ki-67標識率を画像解析システムにて解析を行った。結果、標識率は26~98%とであった。うち24例は85%を越えて増殖活性の高い腫瘍であると推測された。目視で行った解析では全症例が80%を越え、乖離4例を検討した。画像解析システムでは領域で解析していたが、非腫瘍細胞が多数混在し、これらの非腫瘍細胞も解析対象細胞としてしまい、画像解析での標識率が低くなってしまったと推測された。 2)治療ターゲットとなりうる分子の検討:既存の脳腫瘍適応薬剤の治療効果と相関があるといわれているMGMT(O6-methylguanin-DNA methyltransferase)のメチル化の検討を行うため、パラフィン切片からDNAを抽出し、MGMTのメチル化の予備実験を行い手技を確立し、現在対象症例に関して解析中である。同時に免疫組織化学にてMGMTの検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に終了予定であった、CNS-DLBCLの生物学的特性の解明に関しては終了している。また、25年度予定の研究内容に関しても、パラフィン固定検体からのDNA抽出やMGMTのメチル化の検体もすでに着手している。一方で、24年度後半から開始予定であった臨床病理学的解析に関しては解析が終了していないことから、早急に着手する必要がある。以上の状況から、自己点検による評価の区分を(2)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
生物学的特性に関しての免疫組織化学における解明が終了した。またパラフィン検体からのDNA抽出も行い、次年度の研究の基盤が整ったところである。本年度は研究計画の中の(2) CNS-DLBCLの臨床病理学的解析対象症例の臨床病理学的解析とともに、 24年度に開始していた(3)新規の治療ターゲットとなりうる分子の検討を中心に行っていく予定である。(2)に関しては、予後解析を行い、24年度のデータと併せ予後予測、治療効果予測因子の同定を試みる。(3)に関してはMGMTのメチル化をPCR法、免疫組織化学にて検討し、その結果の解析とともに、放射性感受性の有無などその他の予後予測因子に関して解析を進めていく予定としている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度同様、次年度も主に物品費に充てる予定であり、費目別には以下のように計画している. 【物品費】消耗品として免疫組織化学研究用試薬や分子生物学的研究用試薬を購入する予定である.一方,設備備品費は,研究代表者が所属する部門に主要な研究設備が整っており,新たな設備備品の購入は考えていない.【旅費】情報収集や成果発表のため国内外の学会へ参加予定である.【人件費・謝金】該当なし.【その他】本研究で得られた成果を,学会誌等へ投稿することを予定している. 研究推進にあたっては,計画に基づき実験を進めていき,研究費を有効活用したい.
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Expression of O6-methylguanine DNA methyltransferase (MGMT) and immunohistochemical analysis of 12 pineal parenchymal tumors2012
Author(s)
Kanno H, Nishihara H, Oikawa M, Ozaki Y, Murata J, Sawamura Y, Kato M, Kubota K, Tanino M, Kimura T, Nagashima K, Itoh T, Tanaka S
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Journal Title
Neuropathology
Volume: 32
Pages: 647-653
DOI
Peer Reviewed
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