2014 Fiscal Year Annual Research Report
Wntシグナルによる胃上皮細胞の増殖・分化制御機構の解明
Project/Area Number |
24790381
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
平田 暁大 岐阜大学, 生命科学総合研究支援センター, 助教 (30397327)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 胃 / 胃癌 / Wntシグナル / βカテニン / 胃上皮幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの胃癌において、古典的Wntシグナル(canonical Wnt signaling)の活性化を示すβ-cateninの蓄積が頻繁に認められるが、Wntシグナルの活性化が胃癌の発生、進展にどのように寄与しているか明らかにされていない。 本研究では、これまでに、安定型のβ-cateninの発現を誘導可能なβ-catenin inducibleマウスを用いて、胃上皮細胞において安定型のβ-cateninの発現誘導により強制的にWntシグナルを活性化すると、増殖が著明に亢進し、分化が抑制されることを明らかにした。さらに、その分子機構を明らかにするため、β-catenin の強制発現により変動する遺伝子をマイクロアレイ解析し、パスウェイ解析により、2倍以上発現亢進した遺伝子には、他のシグナル経路に関連する遺伝子が有意に多く含まれることを明らかにし、Wntシグナルと他のシグナル経路が協調して形質変化を起こすことを明らかにした。 本年度は、マイクロアレイ解析の結果を詳細に検討し、β-catenin の強制発現により胃および腸管の幹細胞マーカー(Lgr5、Ascl2、Hopx、Bmi1、Lrig1、Rnf43、Tnfrsf19、Znf3)の遺伝子がいずれも2倍以上発現上昇していることを見出し、リアルタイムPCRでもその発現上昇を確認した。さらに、Lgr5の発現をGFPで標識可能なLgr5-GFPノックインマウスを用いて、β-catenin の強制発現により実際にLgr5発現細胞の数が増加していることを見出した。 さらに、昨年度までの組織学的解析で、Wntシグナル活性化による増殖亢進、分化抑制は、マウスあるいはヒトの腫瘍に外挿できることを証明した。 以上の結果より、Wntシグナルの活性化は、胃上皮細胞の未分化性および増殖能が維持することにより、発がんに大きく寄与していると考えられた。
|
Research Products
(8 results)