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2012 Fiscal Year Research-status Report

統合型オミックス解析によるエキノコックスのエネルギー代謝マップの作成

Research Project

Project/Area Number 24790407
Research InstitutionNihon University

Principal Investigator

松本 淳  日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (70296169)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
Keywords人獣共通寄生虫症 / エキノコックス / エネルギー代謝 / メタボローム解析 / トランスクリプトーム解析 / 創薬
Research Abstract

【研究室内におけるエキノコックス純培養系の導入】
エキノコックスに特異的なエネルギー代謝および栄養摂取機構の全容解析に向けて、今後は、虫体そのものの分子生物学的解析および生化学的解析を予定している。これらの解析を実施するためには、宿主組織を含まない純粋な虫体材料を用いる必要がある。そこで今年度はエキノコックスの純培養系を研究室内に導入し、今後の本格的な解析の準備を整えた。具体的には、感染動物由来の虫体を既報に従い嫌気的環境で一定期間培養することにより、宿主細胞を死滅させ、純粋な虫体材料を安定的に得る実験環境を整備した。
【エキノコックスグルコーストランスポーター完全長塩基配列の解析】
上述の方法で培養した虫体材料を用い、RT-PCR法及びRACE法によりエキノコックスグルコーストランスポーター(EmGLUT)遺伝子のクローニングを試みた。その結果、EmGLUT1およびEmGLUT2の完全長塩基配列を決定した。各EmGLUTはそれぞれ509個および501個のアミノ酸をコードしていた。また、分子量はそれぞれ約55kDaおよび60kDaで、12または13個の膜貫通へリックス構造を呈しており、1‐2番目および6‐7番目の各膜貫通領域の間に親水性の細胞外ループが存在した。近縁条虫種であるTaenia soliumのグルコーストランスポーター(TGTP)とアミノ酸配列における各相同配列間のidentityを比較すると、TGTP1とEmGLUT1においては89%、TGTP2とEmGLUTにおいては90%の相同性が得られた。また、similarityは共に98%と高い相同性を得た。本研究により、近縁条虫種の機能的なGLUT遺伝子と、相同性の高いEmGLUT遺伝子が検出されたことから、EmGLUTを介するグルコース摂取機構の存在が示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

平成24年度の研究計画は、エキノコックスの純培養シストを材料として、そのメタボローム情報およびトランスクリプトーム情報を取得・解析し、エネルギー代謝マップの作成に着手することであった。解析に必要な純培養シストを得るための試験管内培養系は既に導入・確立した。しかしながら、年度の途中において、実験用動物を用いて継代しているエキノコックス株を絶やしてしまい、解析に必要な虫体の入手が滞る状況が発生した。このため、研究の進展が遅れる結果となった。その後、学外の研究者より虫体を分与していただき研究室に再導入したが、虫体の増殖速度が緩やかなため、虫体培養の再開までにはさらに若干の時間を要する見通しである。
使用可能な虫体材料が限られたため、エキノコックスの栄養摂取機構に解析対象を絞り、研究を遂行した。その結果、エキノコックスが保持する2種類のグルコーストランスポーター遺伝子をクローニングすることができた。

Strategy for Future Research Activity

エキノコックスの虫体材料の確保においてトラブルが生じ、当初の計画よりも研究の進行が遅れている。残された1年間の研究期間の中で、純培養シストのトランスクリプトーム解析およびメタボローム解析の終了を目指す。年度内にこれらの解析を済ませることにより、エキノコックスのエネルギー代謝マップの作成に必要な情報の大部分を取得することができる。本研究の最終目標は、エキノコックスのエネルギー代謝マップを完成させることであるため、仮に、当初予定した研究期間(平成25年度まで)を超過した場合でも、取得した情報の解析を進めて代謝マップを完成させる。
上記と平行して、初年度に解析を開始したグルコーストランスポーターの機能解析を進める。グルコーストランスポーターに焦点を絞った解析は、当初の研究計画には盛り込んでいなかった。しかしながら、グルコーストランスポーターは、エネルギー代謝に必要なグルコースの取り込みを担う分子である。すなわち、本研究で作成するエキノコックスのエネルギー代謝マップの入り口を構成する分子であることから、当初の目的に沿った成果の取得につながると考えている。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

次年度使用額の大部分は、平成24年度に計画していたトランスクリプトーム解析およびメタボローム解析を実施できなかったことにより発生したものである。平成25年度の研究では、エキノコックスの純培養シストを大量調製し、これを用いてトランスクリプトーム解析およびメタボローム解析を実施することが主要な作業となる。これら2つの解析は外部に委託して実施する予定であり、次年度使用額の約70%(140万円)を、委託費に充てる予定である。また、次年度使用額の約20%(40万円)は、純培養シストを調製するための培養関連消耗品に充てる予定である。残りの約10%(20万円)を活用して学術集会等に参加し、得られた研究成果の発表および関連研究者との情報交換をおこなう予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2012 Other

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] A pilot study on developing mucosal vaccine against alveolar echinococcosis (AE) using recombinant tetraspanin 3: vaccine efficiency and immunology2012

    • Author(s)
      Dang, Z., Yagi, K., Oku, Y., Kouguchi, H., Kajino, K., Matsumoto, J., Nakao, R., Wakaguri, H., Toyoda, A., Yin, H., and Sugimoto, C.
    • Journal Title

      PLoS Neglected Tropical Diseases

      Volume: 6 Pages: e1570

    • DOI

      10.1371/journal.pntd.0001570

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Helminth fauna of a turtle species introduced in Japan, the red-eared slider turtle (Trachemys scripta elegans)2012

    • Author(s)
      Oi, M., Araki, J., Matsumoto, J., and Nogami, S.
    • Journal Title

      Research in Veterinary Science

      Volume: 93 Pages: 826-839

    • DOI

      10.1016/j.rvsc.2011.10.001

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 多包虫感染マウス(感受性DBA/2と抵抗性C57BL/6)の肝臓病変部の宿主遺伝子発現

    • Author(s)
      奥 祐三郎、水上智秋、土井純子、松本 淳、孝口裕一、八木欣平
    • Organizer
      第82回日本寄生虫学会大会
    • Place of Presentation
      東京都

URL: 

Published: 2014-07-24  

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