2014 Fiscal Year Research-status Report
リフレクションによる模擬患者養成プログラムに関する研究
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24790500
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
高橋 洋一 鳥取大学, 医学部, 助教 (40594271)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 模擬患者(SP) / 医療コミュニケーション / SP養成 / リフレクション / 会話分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は医療面接教育に導入が進められている模擬患者(SP)について、SPによる自己評価(リフレクション)を軸とする養成プログラムを開発・提案することを目的としている。本年度の研究成果は以下の通りである。 (1)理論研究の成果としては、医学生とSPの模擬面接において、実践されながら自明のこととして注意が向けられなかった諸側面のより重層的な解明に向けて、リフレクションの思想的系譜のひとつとされるアーヴィング・ゴフマンが提唱した「ドラマトゥルギー」(dramaturgy)の微視的な分析手法を本研究に応用した。(2)昨年度から引き続き、模擬面接のビデオカメラによる映像記録について、社会学における会話分析の手法から綿密な分析を行った。医学生とSPのコミュニケーションや、SPから医学生に向けてのフィードバックの特徴を、個々の模擬面接の分析からボトムアップ式に明らかにした。本研究成果の一部を、日本医学教育学会において口頭発表した。(3)SPによるリフレクションのパイロットケースを実施した。一部SPが自らの参加した模擬面接実習の映像記録を視聴し、ロールプレイでの患者役としての役作りや、面接後のフィードバックについて自己評価を行った。これにより、SPとして習熟するのに、自らを客観視することの有効性と、SPによっては自らの映像を視聴することによる自己評価に困難が伴うなど、その課題について検討を深めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は新たにゴフマンが提唱するドラマトゥルギーの観点から模擬面接の分析を行うなど理論研究を進めることができた。また一部SPによるリフレクションによる自己評価のパイロットケースの実施を通じて、SP養成の方略としての有効性と課題について検討することができた。そのため、本研究の現在までの達成度として、概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、会話分析、ドラマトゥルギーといった理論研究を進めることで、本研究のSP養成プログラムの裏打ちを行うとともに、これまでパイロットケースとして実施したSPによるリフレクションによる自己評価の規模を拡大して実施する。これら成果をSP養成プログラムとしてまとめ、その成果を国際学会などで発表する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは、本年度に予定していた国際学会での研究成果の発表や、学外講師を招聘しての模擬患者の自己評価やSPとしての習熟にかかる研修会の実施を来年度に変更したためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、国際学会での研究成果の発表やそれにかかる旅費や学外講師を招聘しての研修会の実施に充てる計画である。
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Research Products
(3 results)