2012 Fiscal Year Research-status Report
脂肪肝発症と代謝異常・潜在的動脈硬化に関する疫学的検討
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24790616
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
門脇 紗也佳 滋賀医科大学, 医学部, 客員助教 (60510344)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 社会医学 / 非アルコール性脂肪肝 / 冠動脈石灰化 / メタボリックシンドローム / コホート研究 |
Research Abstract |
内臓脂肪型肥満や、それに代謝異常を伴うメタボリックシンドロームでは、高血圧、脂質異常症、インスリン抵抗性を介し、循環器疾患を引き起こす。メタボリックシンドロームは脂肪肝の一つである非アルコール性脂肪肝(NAFLD)を併発しやすい。NAFLDは、内臓脂肪型肥満や種々の代謝異常と独立して、動脈硬化・循環器疾患発症と関連する。本研究は潜在的動脈硬化の一指標である冠動脈石灰化の発症・進展と、脂肪肝との関連、及び脂肪肝の促進・抑制因子探索を目的とする。 本研究は一般住民1300名を対象に潜在的動脈硬化進展度について行った研究の追跡調査に基づく。初回調査時は、心臓冠動脈の石灰化、内臓脂肪面積の計測、脂肪肝の評価を行ったが、追跡調査時にはこの項目のうち、脂肪肝の評価を行っていない。今回の申請で脂肪肝の評価を行う。また、調査時に詳細な問診を行うことで個人の飲酒量の正確な情報を得る。脂肪肝が潜在的動脈硬化進展に及ぼす影響を、①冠動脈石灰化の進展の有無から定量的に明らかにし、②脂肪肝の発症率、脂肪肝発症が代謝異常や潜在的動脈硬化進展に及ぼす影響、加えて、問診より得た正確な飲酒量を元に、③アルコール性脂肪肝とNAFLDを分類し、それぞれの影響の差異を明らかにする。 平成24年度は、すでに終了した追跡調査参加者350名のCT画像から脂肪肝の定量的評価を行った。すなわち、連続した横断面のCT画像から肝臓・脾臓両断面の存在する1枚を選び、肝臓・脾臓それぞれを約45mm2の円形に3点抽出し、その平均CT値を測定した。次に肝臓・脾臓それぞれの3点の平均値の比より、脂肪肝の評価を行った。CT値の測定には、特殊な画像解析プログラム、高性能パソコンと高解像度モニターを用いた。また、現在継続中の追跡調査時にリサーチナースを配備し、被験者のアルコールに関して詳細に問診を行い、正確なアルコール摂取量の情報を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、他の研究費によって行われている潜在的動脈硬化のフィールド調査の追跡調査を元にしている。 平成17-20年に、一般住民1300名を対象に初回調査を行った。今回の調査対象は、その追跡調査に参加協力した同一集団850名である。その内訳は、初回調査の約5年後に行われ、平成23年度に終了している追跡調査の参加者350名と、今回平成24-26年に行われている追跡調査参加者500名である。 この追跡調査において参加者のCT画像より脂肪肝の評価を行い、また調査時にアルコールに関する詳細な問診を行う。また、データの整理、結果の電子データベース化、解析を行う。 当初の研究計画に基づき、平成24年度は、すでに終了した追跡調査参加者350名のCT画像から脂肪肝の定量的評価を行った。高性能パソコンと高解像度モニターを用い、CT画像解析を詳細かつ迅速に行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25・26年度は現在継続中の追跡調査の参加者CT画像より、引き続き脂肪肝の定量的評価を行う。脂肪肝のデータ解析に関しては平成25・26年度に画像・データの整理、結果の電子データベース化を行い、平成27年度に解析を行う予定である。被験者のアルコールに関する問診に関しては、平成24年度に引き続き、平成25・26年度の追跡調査時にリサーチナースを配備し、詳細を問診にて確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、現在進行中の追跡調査のCT画像から脂肪肝の定量的評価を行う。順次画像・データを整理し、結果を電子データベース化していく。また、すでに購入済みのCT画像解析用の特殊なソフトウエアを使用するための年間サポート費用を支払う。また、追跡調査リサーチナース配備を継続する。情報収集活動を行う。 なお、この研究遂行にあたっては 1.対象者は、滋賀県草津市の40~79歳の在住者から無作為に抽出している。研究参加協力に当たっては、その趣旨を文章及び口頭で説明し、同意を得られた者のみを対象としている。 2.個人のプライバシーの保護に留意し、個人情報や検査データが第3者に遺漏することがないようにしている。 3.研究の実施にあたっては滋賀医科大学倫理委員会の審議を経て、承認を得ている。
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