2012 Fiscal Year Research-status Report
フィリピン先住民の母子保健に関する住民参加型研究手法を用いた社会的決定要因の解明
Project/Area Number |
24790617
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
デロスレイエス C 大阪大学, 人間科学研究科, 非常勤講師 (10599252)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | social determinants / maternal and child healt |
Research Abstract |
(1)現地調査について:本科研費第1年目(2012年度)の目的は、調査地域との間に有効な人間関係とパートナーシップを構築することにあった。2012年8月に調査地域に入る前の、研究代表者はフィリピン大学(マニラ)の公衆衛生学院における研究協力者と会議を重ねるとともに、調査対象地域であるコロン島タグバヌア・コミュニティの代表者とも議論を進めた(2012年4月~5月)。タグバヌア・コミュニティを調査対象地域として定めるに当たり、現地行政組織との間の関係を再構築した。それらの現地行政組織には、コロン島タグバヌア族協会(会長はロドルフォ・アグイラル氏)、及びタグバヌア族長老会議である。コミュニティと調査者との間の協力関係は、コミュニティにおける家庭訪問、会議、ネットワーク活動などを通して確立することができた。加えて、コミュニティの母子健康に与える社会的因子について特定するために、コミュニティの代表者(母親、伝統保健衛生者、現地ヘルス・ボランティア、コミュニティ助産師、長老、IPリーダー)とのインフォーマルなインタビューを重ねた。 (2)研究成果の公表について:2012年5月に、台湾の輔仁大学で開催された「第2回アジア太平洋健康促進と健康教育に関する国際会議」に参加し、これまでの研究内容について報告するとともに、世界各地の研究者と母子健康保健の促進について議論した。さらに、2012年7月にはUniversity College London(イギリス)で開催された健康の社会要因に関するシンポジウムに参加し、この分野における最新の情報を入手した。両会議に参加することで、母子健康保健の社会決定要因に関する研究代表者自身の洞察を深めるのに大いに役に立った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本科研第一年目の計画は、次年度以降に行う予定の本調査に合わせて、現地コミュニティとの間に良好なパートナーシップ関係を構築することにあった。ステークホルダーとの会議を重ねることによってのみならず、2012年8月に行ったフィールド予備調査の際に、コロン島タグバヌアに現地滞在することによって、この目標は十分に達成された。今回の予備調査と現地コミュニティとのパートナーシップの構築によって、次年度以降にこのコミュニティで行う予定の現地調査について、島民がよりオープンなかたちで協力してくれるようになると予測できる。加えて、研究代表者は、当該コミュニティでの研究推進の際に協力を仰ぐことになるインフォーマルな研究協力チームを明らかにすることができた。また、インフォーマルなディスカッションや家庭訪問を通して、現地助産婦(2人)、ヘルス・ボランティア(3人)、タグバヌア族の母親(3人)を特定することができた。2013年8月に当該コミュニティに戻り、コミュニティ密着型参与調査(CBPR)を行うことになる。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年8月に行う現地調査で効率的な情報収集をするため、2013年4月末から5月初旬にかけてフィリピンを訪問する。その際に、フィリピンの保健衛生事業関係者複数名と調査協力に関するミーティングを持つ。このミーティングを通して、当該調査地域に適した調査を行う上でのプロトコルを作成する。研究を推進し、コミュニティ構成員からの有効な回答を引き出すため、研究代表者との協力のもと、コミュニティ内部の組織から調査ツールの策定についての助言を得る。フィールド調査においては、コミュニティの構成員に本プロジェクトのスタッフとしての役割、もしく必要な時にアドバイスの提供を依頼する。研究計画書において述べたように、コミュニティ内部の調査協力者は、研究でもちいる調査ツールを発展させ遂行しながら、研究プロジェクトに対して情報提供を行うと同時に、コミュニティ内部の母子健康保健調査に関するトレーニングを受けることになる。トレーニングを受けたコミュニティ構成員は、2013年8月にコロン島の特定世帯について、サーベイ調査のためのインタビューを行う。データの解析は、フィリピン大学(マニラ)の公衆衛生学院・生物統計学および感染症学研究室について行う。 加えて研究代表者は、「第21回健康促進及び健康教育国際ユニオン国際会議(IUHPE、2013年8月)」において、調査の基礎資料について研究報告を行う。また、「第7回再生産および性的健康と権利に関するアジア太平洋会議」において研究報告を行う。公衆衛生に関するこれらの会議へ出席することで、研究を分析する際の枠組みを磨くことができる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年4月28日~5月12日:フィリピン大学(マニラ)公衆衛生学院において学術ミーティングを行うと同時に、パラワン州コロン島においてフィールドワークを行う。 2013年8月4日~8月31日:パラワン州コロン島においてフィールドワークを行うとともに、8月25日から31日には健康促進および健康教育に関する国際会議(IUHPE)に参加して研究報告を行う。 2014年1月12日~1月26日:パラワン州コロン島においてッフィールドワークを行うとともに、「第7回再生産および性的健康と権利に関するアジア太平洋会議」(2014年1月21日~24日)において研究報告を行う。
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