2014 Fiscal Year Research-status Report
視線計測を用いた広汎性発達障害の早期診断システムの開発
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24790627
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
金井 智恵子 昭和大学, 発達障害医療研究所, 講師 (00611089)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 自閉症スペクトラム |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年に引き続き、今年度は自閉症スペクトラム(ASD)ハイリスク児をリクルートを実施した。現在は定型発達児50名、ASDハイリスク児8名を対象にしており、女児に比べて男児の方が多く、平均月齢は24ヶ月である。視線計測に結果については、まず年齢別(低い年齢群:18ヶ月以下、高い年齢群:19ヶ月以上)では、4つの動画パターンのうち、2つの動画において、高い年齢群の方が低い年齢群に比べて、子ども向け番組への注視時間が有意に短かった。次に、ASDハイリスク群と定型発達群の比較では、4つの動画パターンのうち、2つの動画において、ハイリスク群の方が定型発達群に比べて、子ども向け番組への注視時間が有意に長い傾向であった。また子ども向け番組において、顔への注視時間については、ハイリスク群の方が定型発達群に比べて有意に短いことが示された。 またASDの養育者では育児困難を抱えることが多いため、家族支援が必要になる。そのため今年度は6名を対象にして子育て広場を実施した。ASDハイリスク児の社会性の特徴とASDハイリスク児の親の育児感情については、定型発達群に比べて、ASDハイリスク児をもつ母親の方が、育児ストレスが高かった。しかしながら、サンプル数が十分でないために、さらに次年度も継続して検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
視線計測の利用、診断・臨床データの収集は計画通りに実施されているが、ASDハイリスク児の実験参加者の確保は予定より少し遅れている。したがって、今後もASDハイリスク児を中心に集めて、検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度も引き続き、ASDハイリスク児を中心にリクルートする。これまでは、特に乳児期のASDハイリスク児のリクルートが困難であったため、今後も継続して、リクルートを実施する必要がある。また、ある程度のサンプル数が確保されたところで、性別などを考慮して解析する必要がある。十分な数が確保できれば、男児および女児のみを対象として検討する。ASDハイリスク児が12名になったところで、ASDハイリスク児の視線行動の特異的なパターンを明確にする。また、年齢別の比較も同時に行う。解析方法については、人物、幾何学模様、形などを注視する時間を2群比較することにより、どの部分への関心が高いかについて検討する。また、ASDハイリスク児の社会性とASDハイリスク児を養育する親の育児感情の関連性も検討することにより、ASDをもつ養育者の育児支援につなげる。最終的に、解析結果をまとめ、国内外の学会での演題提出・論文の投稿準備を行う予定である。
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Causes of Carryover |
今年度所属研究機関が異動になり研究環境が変わったことにより、今年度実施する予定であったASDハイリスク児のリクル-トが十分に行えなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
このため、ASDハイリスク児のリクル-トを次年度行うこととし、被験者・実験補助者の謝金、実験機器関係、研究成果発表に関わる費用として使用する。
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Research Products
(4 results)