2012 Fiscal Year Research-status Report
遺伝性糖尿病MODYの病態解析のためのヒトiPS細胞の膵β細胞分化誘導系の開発
Project/Area Number |
24790730
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今野 雅允 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80618207)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 再生医学 / 幹細胞学 / 細胞分化 |
Research Abstract |
1)タンパク質導入至適条件の決定と分化誘導のための候補転写因子の決定:複数種のタンパク質が効率良く導入可能な条件を決定するために、11R(細胞膜透過ドメイン)と融合したEGFP遺伝子のベクター構築を行った。構築したベクターを大腸菌BL21株へ導入し11R融合型EGFPタンパク質を精製した。精製したタンパク質をMEF及びADSCの細胞培養上清へ添加し、EGFP陽性細胞の割合を検討した。100ng/mlで添加することにより8割以上の細胞がタンパク質を取り込みEGFP陽性細胞であることが確認された。また、11R(細胞膜透過ドメイン)融合転写因子タンパク質及び 11R-TEV protease 認識配列融合タンパク質の精製を目指し、転写因子挿入のためのMCSを含んだこれらのベクター構築を行った。このベクターへ搭載する転写因子を文献情報と NCBI の GEO data set から約20種決定し、 クローニング後11R 及びTEV プロテアーゼ認識配列を融合したプラスミドへ挿入した。 2)MODY 患者由来 iPS 細胞の樹立:MODY 患者(MODY1, 3, 5)から得た繊維芽細胞にセンタダイウイルスを用いて Oct3/4, Sox2, Klf4, c-Myc を導入し MODY 患者由来 iPS 細胞を樹立した。樹立したiPS細胞は多能性マーカー(Oct3/4, Sox2, Tra1-60等)が陽性であり、テラトーマ形成能、三胚葉への分化能を持ち、正常iPS細胞と同等の性質を持つ細胞であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タンパク質精製のためのベクター作成、候補因子の絞り込み、タンパク質導入濃度検討、及びMODY患者由来iPS細胞の樹立が研究計画通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
1) MODY 患者由来ヒト iPS 細胞の膵β細胞への分化誘導:健常人由来 iPS 細胞を用いて決定した導入条件で転写因子タンパク質のセットを MODY 患者由来 iPS 細胞培養上清へ添加し膵β細胞へ分化誘導する。分化誘導した膵β細胞の遺伝子発現解析やインスリン分泌能を生体外で測定し、健常人由来細胞と比較する。 2) 糖尿病モデルマウス作成の条件検討:SCID マウスへ膵β細胞を破壊する Streptzotocine (STZ)を腹腔内投与し、糖尿病モデルマウスを作成する。血糖値が 400mg/dl 以上の高血糖状態になり、かつマウスの生存率が良い STZ 濃度及びマウスの週令を検討する。 3) マウスへの移植実験による生体内での機能解析:健常人及び MODY 患者由来ヒト iPS 細胞を膵β細胞へ分化誘導し、糖尿病モデルマウス腎皮膜下に移植して、血糖値測定により糖尿病改善効果を調べる。また、腎臓の組織切片を作製することで生着率、遺伝子発現、インスリン分泌能を比較検討する。さらに、マウスに糖を経口投与し、 血糖値及びインスリン量の変化によりグルコース応答性を調べ、生体内における機能を比較検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] 癌克服に向けた新しい取り組み 癌幹細胞と薬剤耐性/放射線耐性2013
Author(s)
今野雅允,浜部敦史,長谷川慎一郎,小川久貴,西川晋平,加納義浩,太田勝也,福角隆仁,尾崎みゆ希,野口裕子,坂井大介,原口直紹,工藤敏啓,佐藤太郎,土岐祐一郎,森正樹,石井秀始.
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Journal Title
臨床と研究
Volume: 90
Pages: 63-67
Peer Reviewed
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[Presentation] 多分化能誘導性マイクロRNA群の同定と消化器癌治療への応用2012
Author(s)
今野雅允,原口直紹,古賀睦人,西川晋平,加納義浩,佐藤太郎,小林省吾,江口英利,山本浩文,永野浩昭,土岐祐一郎,森正樹,石井秀始.
Organizer
第71回日本癌学会学術総会
Place of Presentation
ロイトン札幌(北海道)
Year and Date
20120919-20120921