2014 Fiscal Year Annual Research Report
ホスホリパーゼA2を介するマクロファージの変性LDL取込みにおける新たな機序解明
Project/Area Number |
24790749
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
藤岡 大佑 山梨大学, 総合研究部, 助教 (70377513)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ホスホリパーゼA2 / 酸化LDL / Src / マクロファージ / ノックダウン / 過剰発現 / endosome |
Outline of Annual Research Achievements |
shRNAにより、V型sPLA2をノックダウン(KD)したRaw264.7細胞株を確立した。この細胞株においては酸化LDLの結合能が野生型と同様であったにもかかわらず、細胞内へ取り込んでその後に分解処理する能力が野生型と比較して遅延、低下していることを観察した。また細胞内に取り込まれてearly endosomeを形成した酸化LDLは、さらにlate endosomeへと転送されるが、V型sPLA2 KD細胞株ではlate endosomeへの運搬が遅延していた。これらの機序解明のために、酸化LDL取り込み時のアクチン重合度(物質の細胞内輸送に密接に関与している)を各細胞株群で比較したところ、V型sPLA2のKD細胞株では低下していた。またアクチン重合を規定しているファクターであるRhoGTPaseの活性をpull-down法により比較したところ、V型sPLA2のKD細胞株では野生株よりも低下していた。これらの現象を規定している細胞内シグナルをスクリーニングしたところ、V型sPLA2 KD細胞株ではSrcの発現が恒常的に低下しており、酵素活性も低下していることが判明した。Src遺伝子のプロモーター領域をルシフェラーゼ発現ベクターにクローニングして野生型細胞株とV型sPLA2 KD細胞株にトランスフェクションしてルシフェラーゼの発現を比較したところ、V型sPLA2 KD細胞株でルシフェラーゼの発現が低下していた。このプロモーター領域を用いてゲルシフトアッセイを行ったところ、V型sPLA2の蛋白を添加した際にゲルシフトが観察された。また、GFPをプローブとして、細胞にV型sPLA2を発現させたところ、細胞核内での発現が確認された。これらの結果から、V型sPLA2は何らかの形でSrcのプロモーター領域に作用し、Srcの発現調整を行っている可能性があると結論付けた。
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