2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24790852
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
長濱 清隆 横浜市立大学, 医学部, 助教 (00336538)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 糸球体上皮細胞 / 自己抗体 / 糸球体腎炎 / Integrin |
Research Abstract |
1. 組換えintegrin beta1蛋白の作製 モデルマウス血中自己抗体の存在を確認するため、小麦胚芽を用いた無細胞蛋白質合成技術を用いて、GST結合型マウスintegrin beta1全長を発現させることに成功した。この組換蛋白質に対し、Western blot法にて実験群および対照群のマウス血清を反応させたところ、実験群由来のマウスにおいて110kD付近にバンドが得られ、integrin beta1に対するIgGが実験群に存在するものと考えられた。組換蛋白質を用いてELISAを行ったが実験群と対照群との間に有意な差が見いだせなかったため検討を重ねたところGSTに対してマウス血清あるいは2次抗体が反応していることが分かった。現在、タグ蛋白の結合していないintegrin beta1組換蛋白質を作製中である。同時に、ヒト検体を用いた解析のためにヒトintegrin beta1の発現ベクターについても作製を行っている。 2. 糸球体上皮細胞培養株の作製 米国Charles River社よりImmortomouseを購入し、MACS法を用いて糸球体上皮細胞を単離・培養を行った。摂氏33度およびIFN gamma存在下で不死化型細胞株を得ることに成功し、in vivoの実験を行うべく諸条件を現在検討中である。 3. Integrin beta1に対する交叉反応の検討 モデルマウスでは腎炎誘導早期から抗dsDNAに対する抗体が出現するため、dsDNAを用いた競合的結合阻害反応を行い、FACSを用いて糸球体上皮細胞表面上に結合するIgGの割合の変化を検討したが、dsDNA添加によってIgG結合の阻害は認められなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1. 組換蛋白質を作製したものの、マウス血清がGSTと反応してしまうため血中抗体価の正確な評価が困難でありベクターの作製からやり直さなければならず、現時点でintegrin beta1に対するELISA法が確立できていない。 2. 糸球体上皮細胞株の樹立に成功したが、現時点で条件検討の段階で実験を行うに至っていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
1. マウスintegrin beta1に対するELISA法を早急に確立し、血中自己抗体価を数値化することで経時的な変化をより詳細に検討できるようにする。 2. 抗integrin beta1抗体を糸球体上皮細胞株に作用させ、細胞生物学的変化、特にアポトーシスや増殖能、細胞内骨格の変化に着目し、免疫染色やFACS等を用いて解析を進める。 3. ヒト検体を用いて血中抗integrin beta1抗体価の測定を行い、腎生検組織像との関連や腎予後との相関関係の有無について解析を行う。とくに抗体価が高いものについては、ヒト腎生検組織を用いて2.で得られた知見を免疫染色等によって確認する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度中にELISAのシステムを確立する予定であったが、GST結合型組換え蛋白質では解析が困難であることが判明したため、ELISAを行うことができず、使用予定研究費の一部を次年度使用額として計上した。平成25年度ではタグ蛋白を用いずにintegrin beta1のみを発現させ、速やかにELISAのシステムを確立する。
|