2012 Fiscal Year Research-status Report
ヒト骨髄ニッチにおける造血幹細胞支持機構の解明と造血幹細胞体外増幅法の開発
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24790984
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
松岡 由和 関西医科大学, 医学部, 助教 (70533420)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 造血幹細胞 / 間葉系幹細胞 / 骨髄ニッチ |
Research Abstract |
本研究年度内において、申請者は以下の検討を行った。 1) ヒトHSC支持因子受容体を同定するため、HSC支持因子受容体に対する阻害抗体の作製を試みた。具体的には、18Lin-CD34+/-細胞あるいはヒト白血病細胞株であるKG-1細胞をBalb/cマウスに免疫することにより、18Lin-CD34+/-分画細胞の一部あるいは全部に反応性を示す抗体産生ハイブリドーマを約500クローン作製した。次いで、これらのハイブリドーマを自作の無血清培地に移し、その培養上清より抗体を精製した。その後、精製抗体をDP MSCと18Lin-CD34+/-細胞との共培養系に添加することにより、CD34+細胞維持・産生能を阻害する抗体のスクリーニングを行った。現在、50クローン分程度のスクリーニングを終えている。今後、残りのクローンにおいても同様のスクリーニングを行う予定である。 2) In vivoにおけるDP MSCのHSC支持能の検討を行った。具体的には、NOGマウス左脛骨に2 x 105 /mouseのDP MSCと8,000/mouseの18Lin-CD34-細胞をIBMI法にて同時に移植した。対照群には、18Lin-CD34-細胞単独で移植を行った。移植後20週目にマウスを犠牲死させ、移植部位におけるヒトCD45陽性細胞の生着率を解析した。その結果、18Lin-CD34-細胞単独で移植を行っても80%以上の非常に高いヒトCD45陽性細胞の生着を示すマウスが認められた。そのため、この系では、DP MSCによるSRC支持能を正確に評価することは困難であると考えられた。今後、新たなin vivoにおけるHSC支持能の評価系を開発する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度における申請時の計画は以下のとおりである。 1) 18Lin-CD34+/-細胞支持因子受容体に対する阻害抗体の作製および受容体の同定 2) 18Lin-CD34+/-細胞支持因子の同定および抗体の作成 3) 18Lin-CD34+/-細胞支持因子のover expression およびknockdownによる機能確認 1)に関しては、現在18Lin-CD34+/-細胞に反応性を示すクローンを500個程度作成しており、現在、これらの抗体群より阻害活性を示すものをスクリーニングしている。2)および3)に関しては1)の終了後に着手する予定である。また、上記予定とは別に、申請者は、ハイブリドーマ用自家製無血清培地の作製および抗原特定に有用な免疫沈降法の改良を実施済みである。これらは、今後の研究を進めていく上で非常に大きなアドバンテージだと考えられる。また、平成25年度に実施予定であった「4) In vivoにおけるDP MSCによる支持因子を介したヒトHSC支持機構の解析」の予備的検討も実施済みである。これらの理由により、上記自己評価に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、18Lin-CD34+/-HSC支持因子受容体に対する阻害抗体の作製および受容体の同定は順調に進んでいる。平成25年度は、これらの抗体群よりHSC支持能に対する阻害活性を有する抗体のスクリーニングを行う予定である。 In vivoにおけるDP MSCによる支持因子を介したヒトHSC支持機構の解析の予備的検討として、重症免疫不全マウス骨髄にDP MSCとCD34- SRCの同時移植を実施した。しかしながら、CD34- SRC単独移植群でも非常に高いヒトCD45陽性細胞の生着が観察された。したがって、この系では、DP MSCによるSRC支持能を正確に評価することは困難であると考えられた。そのため、新たなin vivoにおけるHSC支持能の評価系の開発を行う。 具体的には、コラーゲンスポンジにDP MSCを培養下で付着させた後、NOGマウス背中の皮下に移植する。次いで、DP MSCがNOGマウスに生着した後、コラーゲンスポンジ内部に18Lin-CD34+/-細胞を移植し、20週以上ヒト造血が維持されることを確認する。この系により、ヒトHSCの支持能が適切に評価できることを確認した後、In vivoにおけるDP MSCによる支持因子を介したヒトHSC支持機構の解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の使用用途は以下のとおりである。 具体的には抗体作成用のBalb/cマウス (1,300円/マウス) および異種間移植実験に用いるNOGマウス (13,000円/マウス)購入費およびSPF環境下での飼育費に合計300,000円。また、FCM解析とFACS解析に用いるモノクローナル抗体200,000円およびEasySep免疫磁気ビーズ(100,000円/1 ml)を200,000円。抗原同定に必要な電気泳動試薬に100,000円、MS解析用試薬に200,000円を要する。また、遺伝子組み換えベクター作成に必要な、制限酵素(100,000円)およびPCR用試薬(150,000円)、lipofectionによる遺伝子導入試薬(200,000円)を予定している。また、学会発表に係る経費150,000円および論文投稿に係る経費100,000円を計上した。
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[Presentation] Functional Significance of MPL Expression in the Human Primitive Hematopoietic Stem Cell Compartment2012
Author(s)
Takahashi Masaya, Matsuoka Yoshikazu, Iwaki Ryuji, Nakatsuka Ryusuke, Fujioka Tatsuya, Kohno Hirao, Matsui Kazuo, Asano Hiroaki, Sasaki Yutaka, Kaneko Kazunari, Sonoda Yoshiaki
Organizer
2012 ASH Annual Meeting
Place of Presentation
Georgia World Congress Center(アメリカ)
Year and Date
20121206-20121211
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