2013 Fiscal Year Annual Research Report
核内受容体ERRγを介した神経回路形成と内分泌攪乱物質による破綻メカニズムの解明
Project/Area Number |
24791116
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
谷田 任司 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30589453)
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Keywords | エストロゲン関連受容体(ERR) / エストロゲン受容体(ERα) / 内分泌攪乱物質 / 微量化学物質 / 神経発達 / 神経内分泌 |
Research Abstract |
近年,学習障害(LD),注意欠陥多動性障害(ADHD),高機能自閉症といった軽度発達障害を疑われる児童が増加しており,疫学的調査より,その原因が環境中あるいは食品中に蓄積された種々の微量化学物質(フェノール類,ダイオキシン類,有機塩素系農薬,PCB類など)の胎児・新生児期曝露であることが提示されきている。これらの化学物質は内分泌攪乱作用を有し,いくつかは核内エストロゲン関連受容体(ERR)に結合することから,ERRは神経発達障害の原因分子の1つとして疑われている。しかしながら,ERRの脳における機能についてはほとんど明らかとなっていない。本研究では,ERRの神経/内分泌機能を解析すると共に,神経発達障害との関連性について検証した。 新生仔および成熟ラットを用いてERRの脳における局在を解析した所,α,β,γの3つのサブタイプの全てが生殖機能を制御する内側視索前野(AVPV,MPOA)や視床下部腹内側核(VMH)などの脳領域に発現していた。また,ERRとエストロゲン受容体(ERα)との相互作用を想定し,蛍光標識を用いたFRAP解析を行った所,ERRβはエストラジオール(E2)によって活性化したエストロゲン受容体(ERα)とN-terminal domain(NTD)を介して複合体を形成し,ERαの可動性を低下させることが分かった。また,レポーターアッセイによりERRのうちβ型はERαを介したエストロゲン応答配列(ERE)における転写を抑制することが示された。更に,ERRβ発現ベクターの導入によりエストロゲン感受性のMCF-7乳癌細胞株の増殖が抑制されたことから,ERRβはエストロゲン依存的な細胞機能を調節することが明らかとなった。新生仔および成熟ラット脳の比較により,ERRγは視床網様核,黒質網様部においては成熟期よりも新生仔期に強く発現することを見出した。 以上より,ERRは生殖神経内分泌機能の調節や感覚・運動制御に関わる神経機能の発達に関与する可能性が示された。
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[Journal Article] Fetal exposure to 2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin transactivates aryl hydrocarbon receptor-responsive element III in the tyrosine hydroxylase immunoreactive neurons of the mouse midbrain2014
Author(s)
Takashi Tanida, Ken Tasaka, Eiichi Akahoshi, Mitsuko Ishihara-Sugano, Michiko Saito, Shigehisa Kawata, Megumi Danjo, Junko Tokumoto, Youhei Mantani, Daichi Nagahara, Yoshiaki Tabuchi, Toshifumi Yokoyama, Hiroshi Kitagawa, Mitsuhiro Kawata, Nobuhiko Hoshi
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Journal Title
Journal of Applied Toxicology
Volume: 34
Pages: 117-126
DOI
Peer Reviewed
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