2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24791128
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
秋武 義治 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 流動研究員 (20508791)
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Keywords | 子宮内胎児発育遅延 / 低栄養 / 低出生体重児 / 神経学的発達 / カロリー制限 |
Research Abstract |
子宮内胎児発育遅延(IUGR)による低出生体重児では精神発達遅滞,発達障害のリスクが高いことが指摘されている.しかしながらIUGRの原因は母体の栄養不良,胎盤機能不全,妊娠高血圧症,先天奇形など多様であるため,低出生体重児における神経発達障害の原因および発症機序は不明である. IUGRの原因の一つとして若い女性の痩せ志向が挙げられることから,本研究では妊婦の低栄養が児の神経発達障害の危険因子となる可能性を検討した.実験は妊娠ddYマウスに30%の摂餌制限を行うことでIUGRを再現し,出生体重が正常産仔より16%小さい低出生体重児モデル(IUGRマウス)を作成した.生後3週齢および7週齢においてIUGRマウスの自発運動量,情動,認知機能などの行動学的解析を行った後,脳重量,海馬体積,神経幹細胞数など組織学的解析を行った.その結果,IUGRマウスはオープンフィールド試験において不安様行動,物体認識試験において低い認知機能を呈した.特に雄性IUGRマウスは正常マウスと比較して有意に低い認知機能を呈した.組織学的検討ではIUGRマウスの脳重量は有意に小さく,記憶を司る海馬体積は小さい傾向にあった.一方,生後3週齢,7週齢における海馬歯状回の内在性神経幹細胞数は正常マウスと比較して有意な差は認められなかった.本研究から妊娠中の摂餌制限という単純な負荷によって子どもの情動,認知機能は障害され,また脳の器質的発達も妨げられたことから,妊婦の低栄養は子どもの神経発達障害の危険因子となると考えられる.
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Research Products
(1 results)