2012 Fiscal Year Research-status Report
乾癬マウスモデルにおけるB細胞の役割の解明と治療への応用
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24791137
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
簗場 広一 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80385369)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 乾癬 / B細胞 / マウス |
Research Abstract |
(背景と目的)炎症を抑制するサイトカインであるinterleukin-10を産生するレギュラトリーB細胞は、CD1dhighCD5+CD19highという表面マーカーを有し、その他のB細胞と明瞭に識別できるサブセットに属しており、炎症、自己免疫の制御において重要な働きを担っている。今回われわれはレギュラトリーB細胞を欠損したCD19ノックアウトマウスおよび野生型マウスに乾癬様皮疹を誘導させ、病態の解析を行った。 (方法)野生型マウス、CD19ノックアウトマウスの背部を剃毛し、5%イミキモド含有クリームを背部皮膚に塗布した。これを6日間連日施行した。皮疹の重症度は、紅斑, 鱗屑, 皮膚肥厚の3項目について0 (none), 1 (slight), 2 (moderate), 3 (marked), 4(very marked)の5段階で評価した。またこれら3項目の総合重症度スコアも算出した。さらに皮膚の炎症細胞浸潤を計測し評価をおこなった。 (結果)CD19ノックアウトマウスでは野生型マウスに比べて、紅斑、鱗屑、皮膚肥厚、総合重症度スコアすべてにおいて重症となった。またCD19ノックアウトマウスでは野生型マウスに比べて、CD4+T細胞、CD8+ T細胞のいずれも多く浸潤していた。以上のことから、CD1dhighCD5+CD19highレギュラトリーB細胞は乾癬マウスモデルにおいて病勢を抑制する働きを担っている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画時より、乾癬マウスモデルにおいてはCD1dhighCD5+CD19highレギュラトリーB細胞が病勢をコントロールする働きを担っていると推測していた。そこでCD1dhighCD5+CD19highレギュラトリーB細胞を欠損しているCD19ノックアウトマウスに乾癬を発症させてみたところ、推測通り皮膚炎が軽症になる傾向が見られた。
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Strategy for Future Research Activity |
レギュラトリーB細胞を欠損することにより、乾癬様皮疹が重症化することが示された。今後は野生型マウスよりレギュラトリーB細胞を単離し、CD19-/-に移植することで乾癬様皮疹が改善するかどうかを検討する必要がある。さらにはヒトの乾癬患者においてレギュラトリーB細胞が健常人と比べて変化しているかどうかについても検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マウスの維持管理、レギュラトリーB細胞の単離に用いるフローサイトメトリー用の抗体購入費に主に研究費を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)