2012 Fiscal Year Research-status Report
ヒトリンパ管内皮細胞におけるLYVE-1sheddingの誘導
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24791160
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
岡崎 秀規 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90622382)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | リンパ管内皮細胞 |
Research Abstract |
1.アデノウイルスの作製 LYVE-1は生体においてリンパ管内皮細胞に発現する。しかし、培養リンパ管内皮細胞(LEC)では細胞の継代とともにLYVE-1の発現の低下がみられ、Westren BlotではLYVE-1は検出困難であった。そのため培養細胞における検討のためにはLECにLYVE-1を過剰発現させる必要があり、まずアデノウイルスの作製を行った。アルカリフォスファターゼ(AP)-tagHB-EGF-pME18SにLYVE-1cDNAを挿入し、AP-LYVE-1cDNAを作製した。さらにこれらをウイルスゲノムに組み込みアデノウイルスAx-LYVE-1、Ax-AP-LYVE-1を作製した。 2.LYVE-1sheddingの検討 Ax-LYVE-1を用いてLECにLYVE-1を過剰発現すると、Western blotではLYVE-1の全長にあたる約70kDaのバンドが検出された。Shedding inducerであるTPAを感染細胞に添加するとこのバンドに加え、切断され短くなったLYVE-1にあたる17kDaのバンドが検出され、sheddingが誘導される事が分かった。またIL-1βの添加でも同様のバンドが認められ、sheddingが誘導された。次にAx-AP-LYVE-1をLECに感染させ、AP-LYVE-1を強制発現させることによってsheddingの定量化を行った。細胞をIL-1βで刺激すると、培養液中のAP活性はコントロールと比較して約14倍に増加しており、IL-1βによるLYVE-1 sheddingの誘導が確認された。刺激前にIL-1R1中和抗体を添加するとAP活性は有意に抑制された。以上よりLYVE-1においてsheddingが誘導される事が示された。LYVE-1 sheddingについての報告はこれまでなされておらず、新規の知見であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞実験を行うにあたって、リンパ管内皮細胞にLYVE-1を強制発現させる必要があっため、LYVE-1アデノウイルス作製を第一に行う必要があった。アルカリフォスファターゼ融合LYVE-1アデノウイルスの作製に用いたAP-tagHB-EGF-pME18Sは当研究所に保管しており、すぐに作製に取りかかることが出来た。アデノウイルスAx-LYVE-1、Ax-AP-LYVE-1の作製は当研究所の手技を用い年度内早期に作製することが出来たため、比較的早い段階で細胞実験に取りかかることが出来た。LYVE-1のsheddingを検出する方法としてWestern blottingを用いたが、用いた抗体の種類によっては反応および染色性が悪いことがあり、LYVE-1抗体を数種類比較検討して行う必要があった。細胞実験で使用したAP-assayは当研究室で過去に行った事のある実験系であったため、以前おこなった手技に則っておこなったが、複数回の実験により再現性も十分に認められ、概ね予定通りに研究を進めることができた。以上まとめると平成24年度の実験計画の予定通りに研究が進んでおり、概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
想定していたように、リンパ管内皮細胞においてLYVE-1のsheddingが誘導された。引き続き当初の計画にあるように、sheddingにおけるシグナル伝達経路、抑制系実験、sheddingの細胞遊走能に与える影響について検討する予定である。まず、IL-1βによるLYVE-1 sheddingのシグナル伝達経路を各々の段階に特異的な阻害剤、中和抗体を用いて検討する。方法としてはAP-assayをもちいてIL-1R1阻害剤、MAP KinaseであるJNK、p38、ERKの各阻害剤、ADAMs阻害剤(KB-R7785)を添加することによりIL-1βによるLYVE-1 sheddingが解除されるかどうかについて検討する。さらにsheddingにおいて切断酵素として働くマトリックスメタロプロテアーゼであるa disintegrin and metalloproteinase(ADAMs)をsiRNAを用いてノックダウンを行う事により抑制し、sheddingへの影響を検討する。またLYVE-1 shedding誘導により細胞遊走能がどのように影響受けるかを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は本研究の最終年度である。細胞実験を主として行っていくため、必要とされるプラスチック器具、細胞培養液、細胞培養用の用具一式、ヒトリンパ管内皮細胞などの消耗品に800,000円、研究成果についての学会発表、研究打ち合わせなどの旅費等について600,000円の研究費を使用する見込みである。
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