2013 Fiscal Year Research-status Report
経静脈的ガドリニウム投与後MRIを用いたヒト内耳正常薬物動態の解明
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24791288
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山崎 雅弘 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (40595526)
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Keywords | 磁気共鳴画像法 / 内耳の生理的薬物動態 / 頭部の種々の液体の生理的動態 / ガドリニウム造影剤 / 放射線医学 |
Research Abstract |
経静脈的に投与されたガドリニウム造影剤は内耳の外リンパに移行し、MRIによる内リンパ水腫描出を可能にする。経静脈的に投与されたガドリニウムの内耳における正常動態は疾患の診断・病態研究に必要不可欠な基礎的知見であるが、十分に解明されていない。本研究の目的は、経静脈的に投与されたガドリニウム造影剤の健常者の内耳における動態をMRIを断続的に複数回撮像することにより明らかにすることである。当初の計画における主たる具体的研究項目は、内耳外リンパ信号強度の経時的変化を評価することによるガドリニウム動態の定量解析、である。 本研究の進展状況は以下のとおりである。健常ボランティアにおいて、造影前、造影後0.5時間、1.5時間、3時間、4.5時間、6時間の各時点でheavily T2強調3D-FLAIRのMR画像が撮像された。この画像データに基づき、内耳の外リンパにおける造影効果の経時的変化の動態を明らかにした。加えて、視神経周囲クモ膜下腔や内耳道内脳脊髄液等の他部位においても、造影効果の経時的変化の動態を明らかにすることに成功した。これらの成果は、頭部における種々の液体の生理的動態に関する今後のさらなる研究の礎となる重要な知見と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度においては、研究の主たる目的である「信号強度の経時的変化を評価することによる内耳外リンパにおける生理的ガドリニウム動態の定量解析」についての論文を発表した。また、関連研究の研究成果も学会および論文にて発表した。 本研究の進展状況として、研究の主たる目的についての論文は当該年度に発表されており、達成度としてはおおむね順調に進展している。最終年度は、関連領域におけるさらなる科学的新知見を明らかにすべく、関連研究についての解析、発表を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の対象領域である内耳を含む頭部MRIの画像を用いて、可能な限りさらなる科学的新知見を明らかにすべく、関連研究についての解析、発表を行っていきたいと考えている。 具体的には、本研究で用いているheavily T2強調3D-FLAIRのMR画像を用いた脳組織描出法の確立や、ガドリニウム造影剤の液体以外の実質組織信号への影響の検討等を想定している。 初年度や当該年度と同様に、得られた結果は論文発表の形で積極的に公開していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究における学会発表や論文発表が順調に遂行されており、当初見込んでいた英文校正料や資料作成等の経費が低く抑えられたため、次年度の使用額が生じた。 翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画については、上述の「今後の研究の推進方策」に記載した通りである。
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