2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24791430
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤田 逸人 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (40611281)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 膵癌 / 間葉系幹細胞 / 線維増生 |
Research Abstract |
膵間葉系幹細胞の同定にあたり、まず、膵癌間質の線維増生の主体である膵星細胞に着目した。膵星細胞の一部は、間葉系幹細胞由来と考えられており、膵星細胞における間葉系幹細胞特異的表面抗原の解析を行った。当研究室でヒト膵癌切除組織より樹立した膵星細胞株で、間葉系幹細胞特異的表面抗原であるCD29, CD56, CD90, CD105の発現解析をフローサイトメトリーで行ったが、その発現割合は0%に近いものと、100%に近いものに大別された。その中でも、他臓器の線維芽細胞において分化特異性が指摘されているCD90に着目した。CD90陽性線維芽細胞が筋線維芽細胞に分化することから、膵星細胞、ひいては間葉系幹細胞においても、間質の線維増生を制御する鍵となる表面マーカーである可能性が考えられた。免疫織化学染色法で、ヒト膵癌切除組織における間質のCD90発現について検討した。連続切片の検討で、CD90陽性細胞はα-SMA陽性細胞と一致しているものが多かったが、一部一致していない細胞群も認められた。膵星細胞株のフローサイトメトリーでの解析では、CD90陽性細胞は93%以上認められた。免疫組織化学染色法による膵癌切除組織での検討結果との乖離を認めたが、ディッシュ上での培養・継代に伴う形質の変化や、単一形質を有する細胞の選択生存バイアスの影響が考えられた。CD90の機能解析を行うために、磁気細胞分離法で、膵星細胞株をCD90陽性細胞と陰性細胞へと分取することを試みたが、分取前のCD90陽性細胞の割合が多いためか、高純度のCD90陰性細胞の分取には至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
間葉系幹細胞由来と考えられている膵星細胞における、間葉系幹細胞特異的表面抗原の解析は進んでいる。しかし、膵癌バルク組織にコラゲナーゼ処理を施し、単一細胞レベルまでの分離、細胞浮遊液作成して実際の間葉系幹細胞の同定と純化には至っていない。間葉系幹細胞の同定と純化に至っていないため、当初予定にあった転移・浸潤への間葉系幹細胞の具体的関与も明らかにできていない。
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Strategy for Future Research Activity |
間葉系幹細胞特異的表面抗原として報告がある各種表面抗原を用いて、膵癌切除組織からの間葉系幹細胞の分取をセル・ソーターを用いて試みる。分取した細胞群は、骨、軟骨、脂肪細胞へ分化誘導を行い、間葉系幹細胞であることを確認する。間葉系幹細胞と膵癌細胞株との間接共培養実験で、増殖能、遊走能、浸潤能の評価及び細胞外マトリックス関連蛋白の産生能の評価を行う。また、マウスでの間葉系幹細胞と膵癌細胞の同所共移植実験により、間葉系幹細胞が腫瘍における線維増生を促進するだけでなく、腫瘍形成能や転移能を増強するかどうかまで検討する。次に、リボ核酸干渉によるノックダウン技術により、間葉系幹細胞をターゲットとした癌間質の線維増生を抑制する新規治療方法を開発し、同様の間接共培養実験とマウスへの同所共移植実験で確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試薬類10万円、抗体30万円、リボ核酸干渉25万円、キット類10万円、実験用マウス60万円、実験用ガラス器具10万円 研究成果発表:交通費20万円、宿泊費20万円 実験補助人件費:15万円 論文投稿料10万円、論文別刷料20万円
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Research Products
(5 results)