2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24791430
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤田 逸人 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 共同研究員 (40611281)
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Keywords | 膵癌 / 間葉系幹細胞 / 線維増生 |
Research Abstract |
膵間葉系幹細胞の同定にあたり、まず、膵癌間質の線維増生の主体である膵星細胞に着目した。膵星細胞の一部は、間葉系幹細胞由来と考えられており、膵星細胞における間葉系幹細胞特異的表面抗原の解析を行った。当研究室でヒト膵癌切除組織より樹立した膵星細胞株で、間葉系幹細胞特異的表面抗原であるCD29, CD56, CD90, CD105の発現解析をフローサイトメトリーで行ったが、その発現割合は0%に近いものと、100%に近いものに大別された。 CD90陽性線維芽細胞が筋線維芽細胞に分化することから、膵星細胞、ひいては間葉系幹細胞においても、間質の線維増生を制御する鍵となる表面マーカーである可能性が考えられた。膵星細胞株のフローサイトメトリーでの解析では、CD90陽性細胞は93%以上認められた。免疫組織化学染色法による膵癌切除組織での検討結果との乖離を認めたが、ディッシュ上での培養・継代に伴う形質の変化や、単一形質を有する細胞の選択生存バイアスの影響が考えられた。 線維芽細胞のみならず、膵癌細胞の表面抗原についても検討を加えたところ、CD105陽性の膵癌細胞は上皮間葉移行に特徴的な遺伝子発現変化が認められ、またそれらの遊走能は膵星細胞によって強く増強されることが分かった。次にCD166に着目したところ、CD166陰性膵癌細胞がCD166陽性細胞と比較して強い遊走能、浸潤能を示すことが分かった。 さらには抗線維化薬のPirfenidoneが、膵星細胞が主体となっている膵癌間質の線維増生を抑制することが、in vitroおよびin vivoにおいて証明され、間質の制御が膵癌の進行を抑制する可能性が示唆された。
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Research Products
(8 results)