2012 Fiscal Year Research-status Report
フロートラックビジリオシステムによる肝切除術中モニタリングの有用性の検討
Project/Area Number |
24791437
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
目黒 誠 札幌医科大学, 医学部, 助教 (50448601)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | FloTrac/Vigileo / ScvO2 / SVV / 肝切除 / 術後肝機能障害予測 / 輸血 / 出血 / 循環不全 |
Research Abstract |
【方法】20kgブタを用いて全身麻酔下にpringle maneuver下肝切除モデルを作成。肝切除術は左内側葉と左外側葉の中枢側を自動縫合器を用いて行った。肝切除後には脱血させ全身モニタリングと同時にFloTrac/Vigileoシステムを用いて上大静脈内酸素飽和度(ScvO2)、Stroke volume variation(SVV)、cardiac index(CI)などをリアルタイムにモニタリングした。【結果】全身麻酔導入後はmean ScvO2は80-85%で安定。SVVは10-15%、CIは2.5-3.0で安定。CVPは10-15cmH2Oで推移。6回のPringle法にて肝切除術を施行。肝阻血中ではScvO2は50-55%にまで低下し5分の開放ではScvO2は50-55%であり回復しなかった。肝阻血中にはSVVは20%以上に上昇し阻血開放すると10-15%にまで落ち着いた。CVPは阻血中に5cmH2Oほどに低下。肝切除後に400ml脱血したところScvO2は徐々に70%ほどに低下、SVVは30cmH2Oまで上昇。一方、CVPは脱血前とほぼ変化なく10cmH2Oほどで経過。脱血後に細胞外液の補液を強化したらSVVは10-15%に低下しScvO2は70%後半に徐々に回復。術中血中乳酸値は48mg/dLまで上昇したが補液強化後には10mg/dL以下まで改善。【考察】脱血後にSVVの著明な上昇をきたしたがCVPはほとんど変化なし。補液をすべきかを判断するのにSVV変化は非常に有用であると思われた。脱血後のScvO2にほとんど著変なかったのは補液強化により循環不全を生じなかったためと思われ脱血量を増量させてもよいかと思われた。【結語】肝切除術におけるFloTrac/Vigileoモニタリングは輸血すべきかどうか補液で十分かどうかなどの決定に有用となる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
豚を用いた基礎的実験研究と自主臨床研究として申請して施行している臨床での肝切除術中のリアルタイムモニタリングを継続して施行できている。豚実験結果を踏まえて様々な実験的方法の改善点や平成25年度の実験計画を立案できるまでに至っている。現在、臨床的研究成果を英文雑誌Surgeryへ投稿中であり、再査読申請中である。肝切除術中のリアルタイムモニタリングの有用性を基礎的、臨床的な両側面から証明するべくおおむね順調に進展していると思われます。
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Strategy for Future Research Activity |
雌豚(20kg)を用いたpringle maneuver法併用の肝切除モデルで脱血による出血をさせて、FloTrac/Vigileoモニタリングで測定されるScvO2やSVVの変動から、補液や輸血の施行タイミングや適応を術後の肝機能障害の程度を検討して決定できるかを検討していく。一方で、臨床で行っている肝切除術中でもFloTrac/Vigileoモニタリングを行っており、背景肝が正常の症例や慢性肝炎や肝硬変の症例における肝切除術中のScvO2やSVVの変動から術後の肝機能障害を予測できないかを検討していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
引き続き、豚を用いた肝切除+脱血モデルにおいてFloTrac/Vigileoモニタリングを併施して実験を行うとともに、実際の臨床症例に対しても肝切除術の術中におけるFloTrac/Vigileoモニタリングを行ってその意義を検討することを継続したいので、これらの諸費用(物品購入費、実験データ整理のための統計解析ソフトなどの購入、肝臓領域の専門書などの購入費、豚実験時に使用する手術器械などの購入費用など)を捻出するために使用したい。また、この実験内容に関連した肝切除関連の研究会や講演会などにも積極的に出席するための遠征費などにも使用する予定である。平成24年度末の2-3月に豚実験の予定を立てていたため、前倒し請求を行っていたが、都合がつかずに中止となったために次年度である平成25年度に残金が生じた経緯があります。
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