2012 Fiscal Year Research-status Report
胃癌リンパ節転移におけるマイクロRNAの発現と意義
Project/Area Number |
24791439
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
齋藤 元伸 福島県立医科大学, 医学部, 研究員 (90611749)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マイクロRNA / リンパ節転移 |
Research Abstract |
本研究はMMP7とCdx2が胃癌リンパ節転移に関連しているという、われわれが以前に報告した研究に基づいているものであり、この遺伝子発現を制御し得るマイクロRNAを見出し、そしてその胃癌リンパ節転移における役割を解明していくものである。 そのため、まず標的遺伝子を制御しうるマイクロRNAの選定からおこなった。マイクロRNAは標的とするメッセンジャーRNAを抑制することにより作用を発揮するので,その同定は重要である。相補性に基づいて予測されるターゲットをMicroCosm Targets Version5, TargetScan, PicTarなどといった公開データベースの結果に共通するものに絞り込むこととした。今回我々が興味を抱いたMMP7とCdx2遺伝子を標的とするマイクロRNAは、miR-9、miR-21、miR-181bに絞り込まれた。 次に、候補となったマイクロRNAとその標的遺伝子の発現の相関を胃癌細胞株を用いて実験的に確認することとした。各胃癌細胞株におけるMMP7とCdx2遺伝子の発現をPCR法にて確認したのちに、マイクロRNAを強制発現させるのに適切な細胞株をおのおのの遺伝子にて選別して、その胃癌細胞株にマイクロRNAを強制発現させて標的遺伝子の発現の変動をみた。胃癌細胞株のKATOIIIとMKN74にmiR-181bの前駆体を導入した実験系では、まず、miR-181bが強制発現されたことをqRT-PCRにて確認した。次いで、miR-181bが標的とするCdx2の発現を確認したところ、miR-181bを強制発現させた細胞群では、優位にCdx2の発現が低下していることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胃癌のリンパ節転移に関連する遺伝子の選定とその遺伝子を標的とするマイクロRNAの同定、さらにはそのマイクロRNAを強制発現させる細胞実験系を確立できたことが挙げられる。臨床検体を用いた実験系についても、臨床検体の選別や臨床病理学的因子の情報収集を進めている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロRNAを強制発現させた細胞実験系を用いて、その下流のみならず上流をも含めた遺伝子の変動を解析することを進める。そのことによって、マイクロRNAを中心とした細胞内でのリンパ節転移に関するネットワークの理解が進むことが期待できる。また同時に、臨床検体を用いてのマイクロRNAの発現を解析する段階に入る予定である。今後は、使用する検体を選定するとともに、性別、年齢,病理的分化度、リンパ節転移,脈管浸潤、などといった臨床病理学的因子に加えて、予後のアップデートを図り解析を進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞実験系に要する試薬類(培地、血清、RNA抽出、PCR、半定量PCRなど)に加えて、臨床検体でのマイクロRNAの発現を解析する試薬類(RNA抽出、半定量PCRなど)に使用する予定である。また、結果の解析を進めて、発表の機会を持つ予定である。
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