2014 Fiscal Year Annual Research Report
不活化ウイルス粒子に自家腫瘍ワクチンを併用した脳腫瘍に対する新規免疫療法の確立
Project/Area Number |
24791485
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松田 真秀 筑波大学, 医学医療系, 講師 (30614333)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 新規免疫療法 / 脳腫瘍 / 不活化ウイルス粒子 / 自家腫瘍ワクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までのマウス皮下腫瘍モデル実験において、HVJ-E腫瘍内投与と腫瘍ワクチン皮下投与の併用療法によって有意な腫瘍増大抑制効果がえられることが明らかとなったため、本年度はマウス脳腫瘍モデルを用いた解析を行った。HVJ-E定位的脳腫瘍内単回投与群においては、免疫組織染色解析でNK細胞の腫瘍内浸潤がみられ、またわずかながら細胞傷害性T細胞の腫瘍内浸潤も認められた。腫瘍ワクチン皮下投与群での免疫組織染色解析では、ごくわずかな細胞傷害性T細胞の腫瘍内浸潤がみられるのみであった。一方で、これらの併用治療群においては、免疫組織染色解析でヘルパーT細胞および細胞傷害性T細胞の明らかな腫瘍内浸潤が生じており、またNK細胞の腫瘍内浸潤も認められた。また、皮下腫瘍モデルと同様に、併用療法群において脳内の制御性T細胞の浸潤増加は認められなかった。これらの治療に伴う摂食量低下や体重減少等の副作用や過剰な免疫応答による致死的な副作用の出現は1例もみられていない。また併用療法群は、各治療単独群や未治療群と比較して生存期間が延長する傾向にあり(現在も経過観察を継続中)、HVJ-E腫瘍内投与と腫瘍ワクチン皮下投与の併用は、脳内病変においても有効であることが示された。HVJ-E脳腫瘍内投与は単回投与でもワクチン療法と組み合わせることによって腫瘍を制御できる可能性が示されたことから、将来の臨床応用を考える上では、腫瘍摘出後のHVJ-E摘出腔内単回投与とそれに続いた腫瘍ワクチン複数回投与の併用療法が有望であると考えられた。
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