2013 Fiscal Year Annual Research Report
悪性神経膠腫におけるepigeneticsマーカーの探索と個別化治療への応用
Project/Area Number |
24791486
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齊藤 邦昭 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50446564)
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Keywords | 神経膠腫 / メチル化 / エピジェネティクス / 網羅的解析 / CIMP / 悪性転化 |
Research Abstract |
これまでpreliminaryに行ったメチル化網羅的解析の結果をさらに体系的に理解するため、症例数及び腫瘍の種類を追加して、Illumina社のInfinium450K chipを用いた45万個以上のCpGサイトの網羅的なメチル化解析を行った。昨年度までの解析と合わせて、WHOグレードIIからIVまでの神経膠腫124検体、比較対照として正常脳4検体のメチル化解析を行った。この中には26症例の再発/悪性転化をきたした神経膠腫の検体ペアがあり、悪性転化に伴うメチル化の変化についても詳細に解析した。 階層的クラスター分析にて、グリオーマにおけるCpG island methylator phenotype (G-CIMP)が同定され、さらに悪性転化を来した一部の症例において特徴的なメチル化プロファイルを同定し、The Cancer Genome Atlas (TCGA)で公開されているデータでも同様の結果が得られた。遺伝子発現と統合した解析を行うことで、この悪性転化には細胞周期に関わる遺伝子群が関与していることが考えられた。また、この悪性転化に伴い最も発現の変化する遺伝子について、MassARRAYを用いてメチル化解析の検証を行ったところ、悪性転化前後の検体において、メチル化の低下に伴う遺伝子発現の上昇を認めた。さらに膠芽腫細胞株において脱メチル化による遺伝子発現の上昇も認め、脱メチル化が悪性転化を引き起こすことが示唆された。 本研究の結果は、神経膠腫の発生や悪性転化の機序の解明につながる可能性があり、さらにepigenetic statusを変えることによる新たな神経膠腫の治療の開発や個別化療法への発展が期待され、治療困難な悪性神経膠腫の根治的治療につながる可能性を秘めている点で意義深いと思われる。
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