2013 Fiscal Year Research-status Report
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24791511
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
森重 真毅 大分大学, 医学部, 客員研究員 (60381050)
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Keywords | 分子標的薬剤 / 神経膠芽腫 / 浸潤 |
Research Abstract |
現在、臨床に利用されている分子標的薬剤の細胞内への影響を解析する為、代表的な悪性脳腫瘍である神経膠芽腫細胞株(CCF-STTG1、IN351、T98G、U251、U373、U87など)のEGFR、VEGFR、GEP100などの分子の状態を評価した。各種細胞株のcell lysateを作成し、各々の蛋白質の発現量を評価したところ、これら細胞株では、matrigel invasion assayでの浸潤性と概ね相関したGEP100の蛋白発現量が観察された。siRNAを用いてGEP100の蛋白質発現を抑制することで、神経膠芽腫細胞株の浸潤能を抑制する知見を得ていたが、本年度行った詳細な評価の結果、GEP100の機能として、細胞の生存能力、細胞運動能には変化を与えないことが確認された。その他、条件検討を行っていた臨床検体の免疫染色では、神経膠芽腫にGEP100の発現も確認されており、これらの結果から、神経膠芽腫においてGEP100は、悪性度獲得に寄与する周囲組織への浸潤性に特化した機能を有することが示唆された。 また、動物生体内での機能評価の為、マウスの定位脳座標装置を用いた神経膠芽腫細胞株のヌードマウスの非機能脳皮質に移植するモデルマウス作成を開始し、移植が可能であることを確認した。 次年度、これら分子と、臨床経過(生存期間)との相関について検討するなど、適したバイオマーカーとなり得るかを評価するために、検討を重ねる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの結果から、浸潤能の高い神経膠芽腫細胞株ではGEP100の蛋白発現量が高い傾向が得られ、臨床検体でもGEP100の発現が観察されており、報告してきた乳癌のみならず、神経膠芽腫においても、GEP100は浸潤能獲得の重要な局面を担う可能性が高いと考えられ、付申請書の研究の目的②に挙げた、分子標的薬の感受性に対するより有効なバイオマーカーとなる可能性が示唆された。 また、生体内での評価のための、移植モデルマウス作成も進行しており、これらの実験系を用いた、現在使用されている分子標的薬剤耐性に寄与するcascadeとGEP100の関連についての解析の準備が整いつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
より具体的にGEP100が、適したバイオマーカーとなり得るかの知見を得るために、多変量解析等を用いて臨床経過(生存期間)との相関についても検討する予定である。また、腫瘍組織内の低酸素環境、血管新生、免疫細胞の集積、ストローマ細胞の活性化などといいた微小環境の変化による浸潤形質の誘導といった多様性もあることから、腫瘍の部位によっても、各分子の発現様式は多岐に及ぶと考えられる。これらの詳細な評価のため、Lasser Microdissection法等を用いて、前年度までに得られた結果をもとに、分子標的薬剤のターゲットとなるReceptor Tyrosine KinaseとGEP100の発現分布の相関についても検討する予定である。
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