2013 Fiscal Year Annual Research Report
二分岐軸策による膀胱皮膚二重投射の尿意誘発メカニズムの解明と臨床的意義の検討
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24791664
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
柴田 泰宏 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10534745)
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Keywords | 二分岐軸索 / 過活動膀胱 / 寒冷刺激 / 皮膚 |
Research Abstract |
寒冷刺激によって尿意切迫感が誘発されるなど、皮膚への知覚刺激が排尿と関連していることが知られているが、機序は明らかではない。私たちは膀胱知覚と皮膚知覚との間にも関連痛のメカニズムに似た神経解剖学的な関連があるのではないかと推測し、膀胱と皮膚へ軸索を二重投射する知覚神経の証明を試みた。方法としては、二種類の逆行性神経トレーサー(FastBlueとCTB recombinant Alexa Fluor conjugate)をL6-S1レベルの皮膚分節と膀胱壁全周に注入し、L6-S1レベルの後根神経節を観察した。同切片を用いて、神経細胞体上のTRPM8の発現をin situ hibridization法にてラベルし観察、さらに、電気生理学的に二重投射神経の証明を試みた。膀胱へ冷水・酢酸刺激を行って活動電位の得られる骨盤神経の神経束を膀胱知覚神経として使用し、同神経の膀胱側を切断し、その近位側に電極を当て、L6-S1レベルの皮膚分節への皮膚刺激(冷刺激・溶媒皮下投与・menthol皮下投与)によって生じる活動電位が膀胱知覚神経へ逆行性に到達するかを検討するとともに、TRPM8の阻害薬であるBCTCを皮下に前投与した。その結果、膀胱と皮膚へ投与した上記2種類の逆行性神経トレーサーを同時に含む神経細胞体を、L6-S1レベルの後根神経節に確認した。また、二重にラベルされた知覚神経の細胞体の一部にTRPM8が発現していることが確認された。さらに、電気生理学的検討により、皮膚への冷刺激およびmenthol皮下投与によって、膀胱知覚神経において活動電位が記録された。この活動電位の発火頻度はBCTCによって有意に抑制された。これらの結果から、膀胱と皮膚へ軸索を二重に投射するTRPM8陽性の知覚神経の存在が示された。これにより皮膚知覚の一部が中枢神経に至る過程で膀胱知覚と混同され、区別のできない形で認識されていることが示唆された。
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Research Products
(4 results)