2012 Fiscal Year Research-status Report
初代培養細胞塊をもちいた子宮肉腫の新しい治療戦略の樹立
Project/Area Number |
24791703
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 敏啓 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (90584524)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 子宮平滑筋肉腫 / 初代培養細胞 / spheroid / 抗癌剤感受性試験 |
Research Abstract |
平成24年度は患者検体を2検体得ることができた。当初予想として、年間の子宮肉腫の発生頻度が年間1-2例であることを考慮すると予想どうりの検体数であるといえる。本研究を開始するにあたり予備実験として子宮平滑筋肉腫の検体より初代細胞培養塊が得られることをすでに確認していた。同様のプロトコールにて2検体から初代培養細胞塊を作成することに成功し、一部凍結保存した。 その後研究をすすめるにあたり、作成したspheroidは従来の培養培地では比較的長期間維持が可能であるが、十分な成長が得られないことが判明した。およそ100μmのサイズのspheroidは大きさに変化がみられない上に長期間維持を続けたspheroidは中心部が壊死している像がみられた。 我々の研究室ではそのほかの婦人科癌に対しても同様の手法を用いて初代培養細胞塊を作成してきたが、癌種により培養培地の組成に相違がみられ、子宮平滑筋肉腫でも詳細な条件検討が必要となった。検討項目としては無血清培地に添加する成長因子、培養に用いる培養皿、コラーゲンやマトリゲルなどの細胞外マトリックスの使用による成長の程度など、検討項目が多数存在し、順に検討を開始している。現在他の癌種で成長が得られる条件を子宮平滑筋肉腫に用いるとともにそのほかの条件についても検討する予定である。 また、我々が第一に目標とすることは抗癌剤感受性試験を行うことである。成長が得られない場合その条件下で抗癌剤感受性を判別できる指標、マーカーとなる方法がないかを検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究計画時、従来の報告では(他の癌種において)患者検体より得られた初代培養細胞塊(spheroid)は培養皿内での増殖が可能であり、またマウスに皮下移植することによりマウスの皮下に腫瘍を構成した。少量の検体よりその原疾患の性質を引き継いだ腫瘍細胞塊を比較的容易に増殖させて、大量に得ることが可能であると考えられたが、その増殖についての条件は十分な検討の余地があることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
子宮平滑筋肉腫の初代培養細胞塊の作成については問題がないことが分かったが、それらを増殖させるための条件設定として、他の条件で見られる成長因子をはじめとして、数多くの要素を検討する予定である。条件設定をするにあたっては、できるだけ多くの検体をもとに共通した条件を見つける必要があり、それには1-2件/年の新規検体では十分なスピードで実験をすすめることは困難であることが予想される。今後は大阪大学産婦人科関連病院との連携を図り、他院で発生した子宮平滑筋肉腫についても検討できるよう倫理委員会その他の手続きをすすめていくほうが良いと考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
培養条件の検討に際し様々な要素(成長因子、培養皿、)にかかる消耗品に対する費用が次年度の研究費の大半に割く予定である。
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