2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24791858
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
鈴木 崇 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70398048)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | Staphylococcus aureus / keratitis |
Research Abstract |
今回の研究の目的として「点眼による黄色ブドウ球菌点眼ワクチン、病原因子抑制剤を開発し、その感染症予防効果についての臨床的意義を探索する。」であり、H24年度の研究計画としては、角膜上皮に接着し、感染に関与する病原因子を見つけることであった。今回の実験の中で、黄色ブドウ球菌の細胞壁の構成成分であるwall techoic acids(WTA)が、角膜上皮細胞のみならず、角膜炎の誘因ともなるコンタクトレンズへの接着に大きく関与していることが分かった。さらに、黄色ブドウ球菌の野生株とWTA欠失株を用いて、マウス角膜炎モデルを作製したところ、WTA欠失株(WTA合成酵素欠失株、WTA接着因子欠損株)において、野生株よりも、角膜内での増殖、角膜炎の臨床スコアが低下していた。以上のことより、WTAが角膜感染に大きく関与していると思われた。また、WTAの細胞壁に含まれる表面蛋白の角膜への病原性についても、調査したが、有力な病原因子は探索できなかった。 黄色ブドウ球菌の角膜炎における病原因子を探索するために、実際の角膜炎から分離された黄色ブドウ球菌株と感染を起こしていない健常人結膜から検出された黄色ブドウ球菌について、遺伝子学的、または、表現型について解析したところ、角膜炎由来黄色ブドウ球菌株には結膜由来株とは異なる遺伝子背景を持っており、特にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)においては、ある偏ったクローンであることが判明した。さらに、表現型として、運動性(Colony spreading)を確認したところ、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌の方がMRSAよりも運動性が高かった。しかしながら、MRSAの中にも運動性の高い株が存在していた。運動性と角膜炎の重症度との関連ならびにMRSAにおける運動性に関与する因子について、現在確認中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H24年度の目標として、角膜炎における黄色ブドウ球菌の病原因子を探索することであった。当初の計画した方法では、WTA以外の病原因子を探索できなかったが、臨床分離株の解析により、運動性などの病原因子が明らかになってきた。また、WTAについては動物モデルを用いて、その重要性が明らかとなった点で、H24年度の目標をおおむね達成していると思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
H25年度以降はWTAの阻害薬のスクリーニングを行う予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
スクリーニングをするための、薬剤ライブラリー購入費用に使用する予定である。
|