2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト真皮由来多能性細胞の効率的採取法の検討と創傷治癒への応用
Project/Area Number |
24791902
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉川 勝宇 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10583156)
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Keywords | 真皮幹細胞 / SKPs / 多能性幹細胞 |
Research Abstract |
インフォームド・コンセントを得た成人患者の手術において、生じた余剰皮膚を体の各部位より採取し、部位によりSKPsの採取効率が異なるかを検討した。内訳は、顔面7例(33-78歳)、眼瞼3例(60-80歳)、体幹5例(33-71歳)、四肢5例(25-83歳)、であった。前年度までに確立した方法により、真皮より得られた48000細胞中SKPsが何個生じるかを計測した。その結果、顔面(眼瞼以外の頬、顎等)由来の皮膚が最もSKPsの採取効率がよかった。 次に、顔面由来の皮膚であれば、年齢に関係なくSKPsが効率よく採取できるかを調べるため、小児(0歳)6例の顔の皮膚と、成人(33-78歳)7例の顔の皮膚より、それぞれSKPsを作成し、その採取効率を比較した。その結果、顔の皮膚であれば、小児と成人で採取効率に差がないことを見いだした。 さらに、成人(35-78歳)12例(顔4例、体幹4例、眼瞼4例)において、採取する部位により、分化可能が異なるかどうかを検証した。それぞれのSKPsを昨年度確立した分化手法により、脂肪、骨に分化させた。脂肪量については、細胞ライセート中のトリグリセリド量をserum triglyceride determination kit (Sigma-Aldrich, St. Louis, MO, USA)にて測定した。骨分化能については、SensoLyte pNPP Alkaline Phosphatase Assay Kit (Ana Spec, San Jose, CA, USA)にて定量した。その結果、顔の皮膚由来のSKPsが、多部位の皮膚由来SKPsと比較して、有意に脂肪や骨への高い分可能を示した。また、幹細胞マーカーに関する発現量についてRT-PCRで比較したところ、顔由来のSKPは、多部位のSKPsよりsox9の発現量が高いことを見いだした。以上のことから、顔の皮膚は、SKPsを採取するドナーとして適していることが示唆された。
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