2013 Fiscal Year Research-status Report
心原性院外心肺停止症例に対する集学的治療効果に関する研究
Project/Area Number |
24791940
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
早川 航一 関西医科大学, 医学部, 助教 (60403086)
|
Keywords | 心原性院外心肺停止 / 集学的治療 / 神経学的予後 |
Research Abstract |
我々は地域網羅的なウツタイン大阪のデータを用いて、心原性院外心肺停止症例に対する的中率の高い予後予測式を確立し、2011年Resuscitation誌に発表した。本予測式は心拍再開の時点で予後予測できる利点を有している反面、入院後の治療内容が予後に与える影響については十分に考慮できていなかった。近年、院外心肺停止症例に対し、脳低温療法や経皮的心肺補助装置が積極的に行われるようになってきているが、それら集中治療が予後へ与える影響に関しては地域網羅的なデータに基づいた検証はされていない。本研究の目的は心原性院外心肺停止症例において入院後の集中治療が予後へ与える影響を地域網羅的なデータに基づいて検証し、時代に即した新たな予後予測式を確立することである。 本研究を遂行するためには既存のウツタインデータ(病院前データ)に病院到着後の治療内容や検査所見を含むデータを連結させ、レジストリー化することが必須なステップである。平成23年に大阪府下全ての3次救急医療施設と2つの2次救急医療施設により構成される『病院外心停止に対する包括的治療体制の構築に関する研究班(CRITICAL STUDY GROUP)』を設立し、データ集積を行うための協議を行ったうえで、平成24年7月よりデータ集計を開始した。平成25年4月までに462例(約半数が心原性)の登録があり、自己心拍再開率44.8%、1か月生存8.7%、脳低温療法施行率11.0%、経皮的心肺補助装置導入率4.3%といった中間結果が得られている。治療内容と神経学的予後との関係を評価するには更なるデータの蓄積を行ったうえで多変量解析を実施する必要であり、継続してデータ集積を行っているところである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した計画どおりに研究が進行している。適宜研究斑会議を開催し、研究協力者の助言を仰ぎながら今後も研究を進めていきたいと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
このまま順調にデータが集積できれば、予定通りの多変量解析を行うことができ、集中治療が神経学的予後へ及ぼす影響について検証ができると考えている。データ入力は各施設へ依頼しているが、施設によっては依然データ入力の進捗が遅れている状況である。データ入力の支障となっている諸問題についても適宜研究班会議で協議し、個別の対応を行ってゆきたいと考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究に必要なデータ登録システム維持費、会議費・交通費は研究協力者の得た研究費(研究目的は異なる)と適宜分配するかたちで賄っているため、次年度使用額が生じる結果となった。また、解析ソフトは多変量解析を行う時点での最新バージョンを購入することを予定しているため、本年は購入しなかった。 次年度以降にはシステム維持費や解析ソフトの購入、継続して会議費・研究協力者の交通費が必要であり、交付額に見合った使用を行う予定である。
|