2012 Fiscal Year Research-status Report
インプラントオーバーデンチャーにおける適切な義歯床縁形態に関する力学的検討
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24792079
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安藤 貴則 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (50543485)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | インプラントオーバーデンチャー / 義歯床縁形態 |
Research Abstract |
当研究は、インプラントオーバーデンチャーの義歯床縁形態が、従来の義歯と異なる形態をとることによる力学的影響の有無を明らかにし、義歯床縁部の設定基準を決定し、インプラントオーバーデンチャーの更なる発展に寄与することを目的としている。今年度は、上顎にインプラントオーバーデンチャーを装着した患者に対して、義歯床縁形態を変化させた実験床(口蓋部を被覆した実験床と、口蓋部を被覆していない実験床の計2種類の実験床)を使用して、口腔内にて計測を行った。 具体的には、計測に関して最初に大阪大学歯学部倫理委員会の許可を得た後、男性3名、女性2名の計5名の被験者に対して、実際に口腔内にて、ひずみの計測を行った。荷重位置はインプラント間の重心部とし、100Nまでの荷重を負荷して、インプラントに生じるひずみを計測することで、義歯床下にかかる荷重負担割合を計測した。得られた計測データを分析した結果、前歯部に加えて、臼歯部にもインプラントが埋入されたインプラントオーバーデンチャーの場合において、口蓋部における荷重負担割合は小さくなる傾向を示した。この結果より、義歯床で口蓋部を被覆する必要性は低い可能性が示唆された。 また、今年度の研究によって得られた結果を、4月に韓国にて行われた学会(Biennial Joint Congress of CPS-JPS-KAP 2013)にて発表し、さらに2013年9月にイタリアで行われる学会(International College of Prosthodontics Meeting 2013)においても発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画において、口腔内実験における被験者数は5名とやや少ない数ではあったが、上顎のインプラントオーバーデンチャーにおいて、義歯床の口蓋部被覆の必要性が低い可能性が示唆されたという結果は示すことができた。 また、今年度と次年度における2回の国際学会において結果を発表し、国際的にも結果を公表できたことからも、おおむね順調に進展していると思われる。 しかしながら、計測を行った被験者は全て上顎であるため、今後は下顎のインプラントオーバーデンチャーにおいても同様の口腔内実験を行っていく必要性があると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の前半においては、今年度に引き続き被験者(特に下顎の被験者)を募るとともに、口腔内実験を行った被験者において、3次元有限要素モデルを3次元有限要素ソフトを用いて製作する。実験モデルの製作においては、構成要素は、インプラント・義歯・顎堤粘膜および顎骨とし、顎骨においては実際の患者のCT値を利用し、より患者に近い条件下で検討を行っていく。実験モデル上において、義歯床縁部の設定位置を変化させ、顎骨内にかかる平均相当応力(MPa)を比較する。その結果を、患者毎に口腔内実験と3次元有限要素法の両方から比較検討する。 次年度の後半においては、今までの計測によって得られた結果を収集・分析し、2年間によって行われてきた研究の最終結果を学会発表や論文発表などを通じて社会に対して発信していくとともに、臨床に応用できるように検討していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、3次元有限要素モデル製作のための3次元有限要素ソフトウェアおよびパーソナルコンピューターが必要であり、それらの物品の購入を予定している。 また、次年度においても引き続き口腔内実験を予定しているため、実験床の製作費等の必要な費用として患者計測準備費用と、ひずみを計測するためにはひずみゲージが必要であるためにその費用、加えて学会発表等研究結果の発表に必要な旅費として交通費および宿泊費を経費として研究費の使用を予定している。 さらに、次年度は今年度と比較して、研究結果の発信のための学会参加および論文出版にかかる経費が増加すると考えている。
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Research Products
(1 results)