2012 Fiscal Year Research-status Report
在宅歯科診療に適した自浄作用を有する高耐久性ティッシュコンディショナーの開発
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24792087
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
柄 博紀 広島大学, 病院(歯), 歯科診療医 (60614378)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 歯科材料 / 補綴学 |
Research Abstract |
本研究は、在宅歯科診療において使用頻度の高い歯科材料であるティッシュコンディショナーの使用上の問題点である、耐久性が低いことおよび口腔内真菌感染を引き起こす可能性があることを解決した新規の材料の開発が目的である。本年度は、まず一つ目の問題点である耐久性に関する研究を行った。本研究では、ティッシュコンディショナーの液成分である可塑剤に新規可塑剤でありポリマー化した可塑剤であるマレイン酸ジエチルヘキシルを用いることで材料の耐久性の向上を考えた。その評価方法は、マレイン酸ジエチルヘキシルと数種類の粉末成分を組み合わせた材料を作製し、それらの粘弾性特性を動的粘弾性測装置(DMAQ800)、溶出成分の定性定量分析を高速液体クロマトグラフ(LC-10A)、床用レジンとの接着強さを、小型卓上試験機(EZTest EZ-SX 500N)にて行い、市販製品と比較した。その結果、粘弾性特性では、マレイン酸ジエチルヘキシルと粉末成分ポリブチルメタクリレート(M-6003)を組み合わせた材料が市販製品と比較して高い耐久性を示した。溶出成分の定性定量分析では、同材料は溶出は認められるものの累積溶出量は市販製品と比較し小さい値であった。床用レジンとの接着強さでは、市販製品よりも接着強さは劣る結果となり、今後再検討する必要があると考えられる。 これらの結果と評価すると、ポリマー化した可塑剤マレイン酸ジエチルヘキシルを用いたて試作したティッシュコンディショナーは、現在市販されているティッシュコンディショナーよりも機能、耐久性の面で優れた材料であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新規可塑剤と用いたティッシュコンディショナーの試作し、耐久性のよい材料の開発の可能性は示唆できたが、抗菌性を向上させるための抗菌成分の選定することができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
抗菌性のある材料の開発を目指すため、材料に含有する抗菌成分の選定を行う。茶カテキン、カコテコールなどを用いて、抗真菌性の評価を行い、試作材料に含有しその理工学的性質の検討を行った後、臨床的評価を行う。また、床用レジンとの接着強さの向上について再検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
各種抗菌成分の購入や材料の接着強さの再検討を行うため、小型卓上試験機のジグを購入予定である。その他、抗菌性の評価や理工学的性質の検討を行う上で必要な物品に使用する。
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