2012 Fiscal Year Research-status Report
タンニン酸を応用した生体親和性の高い材料開発に関する基礎的研究
Project/Area Number |
24792128
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 光一 北海道大学, 大学病院, 助教 (50580932)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | タンニン酸 |
Research Abstract |
乳歯においては永久歯と比較してう蝕の進行速度が早く、う蝕は容易に歯髄に達する。う蝕が歯髄に達すると、生活歯髄切断や、抜髄を行うが、材料が生体に直接触れることとなる。生体に直接触れる材料には高い生体親和性が求められる。近年、HY材(タンニン・フッ化物合材)を含む材料が覆髄材として認められるなど、HY材中のタンニン酸の効果が注目されている。タンニン酸の歯科領域における研究はあまり行われておらず、行われていても、組織学的観察が主であり、細胞内情報伝達系など、そのメカニズムに関する報告はほとんどされていない。そこで本研究では分子生物学的手法を用いてタンニン酸の歯髄に対する影響を探索することにより、タンニン酸の効率の良い応用法を検索する。 ELISA法の結果より、タンニン酸はラット歯髄由来細胞(RPC-C2A)に対してプロスタグランジンE2の産生抑制を行うことがわかった。また、ウエスタンブロッティング法により、COX2やp38MAPKのリン酸化を阻害することが明らかとなった。 また、MC3T3E1細胞を用いてタンニン酸による石灰化への影響を検索した。アリザリン染色を行い評価したが、タンニン酸により軽度に石灰化が亢進している像が確認された。培養液中のタンニン酸の濃度が100μM以上になると、細胞が生存しないことも確認され、至適濃度についても検討が必要だと考えられる。 25年度は石灰化関連タンパク質や炎症性マーカーの検索や、PCR法による関連遺伝子の解析を進めることにより、タンニン酸の抗炎症作用、石灰化誘導に対する評価を検索していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞の石灰化に対する評価を終えて、PCR、ウエスタンブロッティングによる解析も進めている。この調子で進めていけば研究目的は達成できると考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き分子生物学的手法によるタンニン酸の作用に関して検索していく。濃度による違いについても調べていくことにより、至適濃度を導きだす。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定よりも消耗品の購入が少なかったため、わずかに次年度使用額が発生したが、今後研究を継続していくことにより、消耗品代として使用する。
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