2013 Fiscal Year Annual Research Report
唾液腺幹細胞より再構築した唾液腺移植による再生医療法の開発
Project/Area Number |
24792144
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
碇 竜也 九州大学, 大学病院, 助教 (70380467)
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Keywords | 唾液腺 / 再生医療 / 幹細胞 |
Research Abstract |
T-box転写因子の一つであるBrachyuryが発生のさまざまな過程で働く転写制御因子に関与することが明らかになりつつある。そこで、本研究ではマウス唾液腺発生におけるBrachyuryの役割について検討した。胎生期マウス顎下腺において発生の初期に限局してBrachyury遺伝子の発現増加を認めた。siRNAを用いたBrachyuryのノックダウンにおいてcleft形成や分枝形成が抑制された。cleft形成、分枝形成、細胞接着に関連するとされるfibronectin、Btbd7、E-cadherinの発現動態を確認した。fibronectin、Btbd7はBrachyuryと同様に発生初期に高発現していた。一方、E-cadherinは発生初期に減少していた。Btbd7、fibronectin遺伝子ノックダウンでは、Brachyuryノックダウンと同様に cleft形成や分枝形成が抑制された。Btbd7、fibronectin遺伝子をノックダウンしても Brachyuryの発現動態に影響は認めなかったが、Brachyuryノックダウンにおいては Btbd7、fibronectinの発現抑制が認められた。BrachyuryがfibronectinやBtbd7の上流で制御している可能性が示唆された。また、唾液腺の発生には唾液腺幹細胞の存在が必要であり、幹細胞を維持することが重要となる。そこで、幹細胞に関わる因子としてSox2との関わりについて検討を行った。Brachyuryの発現動態と同様にSox2は発生初期に強発現していた。Brachyuryノックダウンと同様にSox2ノックダウンにおいてもcleft形成や分枝形成が有意に抑制された。BrachyuryノックダウンにおいてはSox2の発現の抑制が認められた。以上より、Brachyury が fibronectin、Btbd7、E-cadherin を制御することで、マウス唾液腺の cleft 形成を制御し発生の中心的な役割を果たしている可能性が示唆された。また、Brachyuryは幹細胞の維持を担うSox2も制御している可能性が考えられた。
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